【じっくり解説】GDNのターゲティング種類をくわしく解説します!
Web広告の強みはテレビCMや新聞広告などのマス広告と違い、広告を配信するユーザーやコンテンツをターゲティングできる点です。
ユーザーはターゲティングにより自身の興味関心のある広告に接触することができ、企業側にとっては見込みの高いリードにアプローチすることができるので結果としてコンバージョンにつながりやすくなります。
費用対効果を高めるためにも適切なユーザーに適切なタイミングで広告表示させることがGDN広告運用成功への近道となります。
ターゲティングには様々な種類がありますので初めてGDN広告を運用するという方はどれが最適なターゲティングなのか迷ってしまうかもしれません。
ターゲティングをしなければ本当に広告を届けたいユーザーに配信することができませんし、逆にターゲティングを複数行なってユーザーを絞り込みすぎても母数が少なくなるのでクリック率やコンバージョン率につながる確率が低くなります。
今回はGDN広告で効果的なターゲティングを行なうにはどうすれば良いのかお悩みの広告運用ご担当者様向けに、そもそもGDN広告とは何なのか、GDNターゲティングの全体像、各ターゲティングのご紹介、ターゲティング設定例まで幅広く取り上げていきます。
1.GDN広告とは
ご存じかも知れませんが、GDNとは「Google Display Network(Googleディスプレイネットワーク)」の略であり、Googleディスプレイ広告のことです。
ディスプレイ広告とは閲覧中のウェブサイトやアプリ、動画サイトなどの広告枠に表示されるテキスト広告、画像広告、動画広告を指します。対象は個人ブログが中心ですが、ライブドアブログ、教えてgoo、食べログ、ピクシブ、YouTubeなどGoogleと提携する200万以上のウェブサイトと65万種類以上のアプリに広告を掲載することができます。
動画や画像など視覚的なアプローチができるので、認知拡大やブランディングに向いていることから、購買ファネルにおける、まだ課題に気付いていない潜在層に広く接触するのに適しています。
リスティング広告の場合、ユーザーが検索したキーワード(検索語句)に連動して検索結果の上部や下部に表示されるのに対して、ディスプレイ広告は広告の掲載枠があるウェブサイトの内容(コンテンツ)に応じて表示されるため、コンテンツ連動型広告とも呼ばれます。
同様のディスプレイ広告サービスとして、Yahoo!が運営しているYDA「Yahoo Display Ads(Yahoo!ディスプレイ広告)」があります。基本的な仕組みはGDNと同様ですが、広告が表示される場所がYahoo!傘下やパートナー企業である点が異なります。
2.GDNターゲティングの全体像
GDNのターゲティングは、主に「オーディエンス(人)」と「コンテンツ(配信面)」の2つに大別することができます。
各ターゲティング方法と購買ファネルとの関係性は下の図の通りです。「人」をターゲティングする方法は上部ファネルから下部ファネルまで幅広く用意されているのに対し、「配信面」をターゲティングする方法は上部ファネルへの配信に適していると言えます。
3.ターゲティングの必要性
これはWeb広告運用に限りませんが、GDNを活用すれば膨大な配信枠に広告を掲載することができ、インターネットユーザーの90%以上にリーチできると言われていますが、すべての購買ファネルに同じようなアプローチをしていたのでは、費用対効果が悪化します。
このような非効率な広告配信を防ぐためにも、ターゲティングを行ない、必要とされるであろう市場を正確に特定することで、販売の効率と成約率を向上させることができます。限りある予算を有効に活用するためにも市場のセグメンテーションとターゲティングを綿密に行ない、適切なユーザーに適切なタイミングで広告を届けることで、クリック率やコンバージョン率の増加につながります。
では、具体的にGDNのターゲティングにはどのような手法があるのでしょうか。次章で詳しく見ていきましょう!
4.オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングとは「人」をターゲティングする方法で、これから紹介する6種類に分かれています。
ユーザーの属性、興味や習慣、ユーザーが積極的に調べている情報や広告主のビジネスを利用した方法に基づいて広告を表示できるので、GDNの中では比較的成果(CV)につながりやすいターゲティングでもあります。
それではオーディエンスターゲティングの6種類を順番に見ていきましょう。
(1)ユーザー属性
まず、ユーザー属性として、年齢や性別、子供の有無、世帯収入に基づいてターゲティングすることができます。自社の商品やサービスが特定の地域、年齢、性別、端末の種類のユーザーにどの程度当てはまるかに基づいて、広告を表示します。しかしこれらの情報はユーザーのアカウント情報などではなく、行動に基づいた媒体側の予測値によるものなので、絶対情報としてではなく、あくまで目安値として使用した方が良いでしょう。
性別 | 年齢 | 子供の有無 | 世帯収入 |
女性 | 18〜24歳 | 子供なし | 上位10% |
男性 | 25〜34歳 | 子供あり | 11〜20% |
不明 | 35〜44歳 | 不明 | 21〜30% |
45〜54歳 | 31〜40% | ||
55〜64歳 | 41〜50% | ||
65歳以上 | 下位50% | ||
不明 |
(2)アフィニティカテゴリ
アフィニティ(affinity)は、「親近感」や「類似性」などと和訳されますが、ここではユーザーが熱中していること、習慣、興味や関心に基づいてユーザーにリーチすることを指します。
Google広告では数百ものカテゴリが用意されており、広告主は「スポーツ、フィットネス」などの大分類から「ラグビーファン」などの小分類まで選択することが可能で、特定のカテゴリに関心を寄せるユーザーをターゲティングします。テレビキャンペーンを展開する場合は、Google検索やディスプレイネットワークを利用してキャンペーンのリーチをオンライン上にも広げることができます。
アフィニティカテゴリを使用すると、ライフスタイル、趣味、習慣などの全体像を基に広告を表示することができます。アフィニティカテゴリのユーザーは、特定のトピックに高い関心を示すことが分かっており、広告主は商品やサービスを最も関連性の高いユーザーにアピールすることができます。
現在、Googleの全ての広告主は、検索キャンペーン、ディスプレイキャンペーン、動画キャンペーン、Gmail、ディスプレイ&ビデオ360でアフィニティカテゴリを利用できます。
(3)購買意向の強いユーザー層
購買意向の強いユーザー層では、その名の通り、広告主が提供する商品やサービスに似たものを検索し、購買を検討しているユーザーに対してターゲティングを行なうことができます。
当然ですが、先ほどご紹介した「興味を持っている」というアフィニティカテゴリよりも、ユーザーは購買欲が強い状態で、具体的に商品やサービスの購買を検討していることが多く、アフィニティカテゴリよりもリーチ数は少ないものの、より購入のモチベーションが高いユーザーにリーチすることができます。
カテゴリ選択に関しては、アフィニティカテゴリと同様に、Googleが用意したカテゴリの中から選択していく方式ですが、アフィニティカテゴリと異なり、「ゴルフ用品」「フィットネス器具」など、より具体的なものを選択することができます。
(4)カスタムインテントオーディエンス
カスタムインテントオーディエンスは、ターゲットユーザーが積極的に探している商品やサービスの内容に基づいて独自のオーディエンスを定義することができます。
サイトを訪問して購入に至る可能性が高いユーザーに関連する語句(キーワード)やユーザーの興味関心に沿ったウェブサイト、アプリ、YouTubeコンテンツのURLを入力することで、購買意欲の高いユーザーにアプローチできるようになり、広告の費用対効果を上げることができます。
キーワードの候補はYDNのサーチキーワードのように広告管理画面上に候補が表示されます。指定するキーワードやURLはOR条件となり、どれか1つでも該当するユーザーをターゲティングします。指定する内容が少ないとターゲット範囲を絞り過ぎてしまうため、Google公式では同じテーマに沿ったキーワードとURLを合計15個程度指定することを推奨しています。
(5)類似ユーザー
類似ユーザーは、既存のリマーケティングリストのユーザーと同じ特徴を持つユーザーをターゲティングする機能です。
類似ユーザーは広告主のサイトに対して検索などの直接のアクションを行なっていないものの、関心内容の関連性が高いため、コンバージョンにつながる可能性があります。
類似ユーザーリストでは元となるリマーケティングリストに載っているユーザーが自動的に除外されるため、顧客の新規開拓を行ないたい場合にも適しています。ニッチな商材などで元々のオーディエンスが少ない場合に活用するのも良いでしょう。
(6)リマーケティング
リマーケティングは、一度広告主のウェブサイトやモバイルアプリ、動画にアクセスしたことのあるユーザーや過去に連絡先情報を提供したユーザーなど、既に広告主の商品やサービスに興味を示しているユーザーに再アプローチすることです。
いわゆる追跡型広告のことで、一度興味を示したことのあるユーザーに対してアプローチするため、コンバージョンにつながりやすく、顧客獲得目的のキャンペーンであれば外せないターゲティングと言えます。
顧客のリードナーチャリングという観点で見れば非常に有能なターゲティング機能ではありますが、同じユーザーに対して何度も広告が表示されることから、かえってユーザーに嫌悪感を与えてしまう可能性もあります。
配信する広告クリエイティブのパターンを増やしてユーザーを飽きさせないようにしたり、「サイト訪問後3日以内」などの有効期限を設けたり、「商品詳細ページを閲覧した」などのページの階層を指定してターゲティングを行なったりするとユーザーに不快感を与える可能性が低くなります。
その他にも除外設定や広告のローテーション機能、フリークエンシー(広告表示頻度)設定を活用するなどして、より効果的なリマーケティングを行ないましょう。
5.コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングとは広告の掲載場所をターゲティングする方法です。
キーワードやトピックなどの要素に基づき、ディスプレイネットワークの関連性の高いサイトに広告を表示させることができます。トピックターゲティング、プレースメントターゲティング、コンテンツキーワードターゲティングの3種類があります。順番に見ていきましょう。
(1)トピック
トピックターゲティングとは、Googleが用意するカテゴリの中から、広告を表示するトピック(コンテンツの内容)を選択して配信するターゲティング方法です。
ターゲティングにトピックを設定することで、特定のトピックに関する複数のページをまとめて広告の掲載対象とすることができるので、比較的広範囲に広告を表示させることができます。
イベントの告知など認知拡大のために配信ボリュームを最大化したい場合に最適です。Google広告ではテキスト、言語、リンク構造、ページ構造などに基づいてウェブコンテンツを分析し、各ウェブページの主なテーマを割り出し、設定したトピックに基づくターゲティングを行ないます。
(2)プレースメント
手動プレースメントとは、YouTubeとディスプレイネットワークの一部であるウェブサイトやYouTube動画、YouTubeチャンネル、アプリ、アプリのカテゴリの中から広告を掲載したい場所を広告主が指定して配信するターゲティング方法です。
例えば閲覧タブで「ヨガ」と入力すると関連する動画やウェブサイトがインプレッション数とともに表示されます。
ちなみに「プレースメント(Placement)」とはウェブサイト全体を指すこともあれば、サイトの一部を指すこともあります。コンテンツターゲティングを行なう中で、成果の高いサイトを手動プレースメントで指定して、予算や入札を個別に管理することで、さらなる成果を期待できます。
(3)コンテンツキーワード
コンテンツキーワードは、広告主の商品やサービスと関連性の高い語句を指定し、これらの語句で検索を行なうユーザーに広告を表示するターゲティング機能です。
設定したキーワードと関連する内容を含むウェブサイト(アプリ、動画含む)へ広告が配信されます。キーワード選定がまだ済んでいない場合は、ビッグキーワードを入力すれば関連性の指標とともにサジェストキーワードが表示されますし、関連するウェブサイトのURLを入力してもキーワードを提案してもらえます。
複数のキーワードをカスタマイズすることも可能です。例えば、季節のイベントを反映するキーワードや、セールを最大限に活用するためのキーワードを設定します。2019年4月頃までは「オーディエンスキーワードターゲティング」で関心対象や訪問するサイトを基準にユーザーをターゲティングすることができました。
しかし現在この機能は使えなくなっており、「キーワードで人をターゲティングする機能」は「カスタムインテントオーディエンス」に集約されています。
(4)補足:検索のディスプレイネットワーク対応
自動入札とスマートターゲティングの機能を組み合わせて、Google広告がコンバージョンを増加できるようターゲティングを自動的に最適化します。
ディスプレイネットワーク対応は検索キャンペーンやディスプレイキャンペーン、または動画キャンペーンに適用でき、高い成果が見込めるタイミングを捉えて、最善の結果を出すことができます。
6.デバイス(端末)のターゲット設定
GDNでは使用するデバイス(端末)を指定したターゲティングを行なうこともできます。こちらも具体的に見ていきましょう。
(1)PC(パソコン)
画面が7インチより大きいデスクトップパソコンやノートパソコンでコンテンツを視聴するユーザーをターゲティング できます。このオプションを選択するとパソコンの全ての広告枠を利用できます。
(2)モバイル(スマホ)
電話機能のある携帯型のデバイス(スマートフォン)のユーザーをターゲティングします。OSから端末モデル、WiFiの有無から携帯電話会社まで指定することができます。
(3)タブレット
電話機能が必ずしも含まれていないモバイルのユーザーをターゲティングします。こちらもスマートフォン同様、端末モデルを指定することができます。
(4)テレビ画面
スマートテレビやゲーム機、接続型デバイス(Chromecastなど)の、テレビのコンテンツをストリーミングするデバイスのユーザーをターゲティングします。このターゲティングオプションはディスプレイキャンペーンと動画キャンペーンでのみ利用できます。
7.ターゲティング設定例
これまでオーディエンスターゲティングからコンテンツターゲティングまで様々な種類のターゲティングを見てきました。最後にそれらのターゲティングをどのように活用すれば良いのか事例を交えてご紹介します。
活用例①オーディエンス×オーディエンスのターゲティング
広告主の商材が20代〜30代の女性に提案したい高級化粧品だったとして、ユーザー属性である性別軸と年代軸を掛け合わせたターゲティングが可能になります。
ちなみにディーテラー株式会社が行なった調査によると、GDNのユーザー属性と実際のコンバージョンの属性の合致率が70〜74%と非常に高い一致率となったことが分かっています。この機能は他の全てのターゲティング機能と併用ができるので、積極的に活用していきたい基本のターゲティングとなります。
活用例②:オーディエンス×コンテンツのターゲティング
アフィニティカテゴリ×トピックターゲティングでインプレッション数を最大化させることができます。
アフィニティカテゴリのユーザーは、特定のトピックに高い関心を示すことが分かっているので、トピックターゲティングとの相性が良いです。広告主は商品やサービスを最も関連性の高いユーザーに、特定のトピックに関する複数のページにおいてアピールすることができます。
アフィニティカテゴリの内容とトピックターゲティングの内容の一致率が高ければ高いほどインプレッション数は増加傾向にあります。潜在層への認知拡大に力を入れたい場合に最適のターゲティング方法です。
活用例③:コンテンツ×コンテンツのターゲティング
プレースメントターゲティング×キーワードターゲティングはコンテンツ×コンテンツの応用ターゲティングです。
いわゆる「配信面」同士をターゲティングする合わせ技なのですが、こちらはキーワードターゲティングで関連するウェブページを選定しつつも、プレースメントマーケティングでさらに広告が表示されるページを絞り込む際に最適なコラボレーションです。
ブランドイメージを重視していて、不特定多数の配信面に広告が表示されるのを防ぎたい場合に活用できます。しかし、設定方法によってはターゲティングの範囲が狭くなり過ぎてしまう場合もありますので注意が必要です。
8.GDNの効果はターゲティングの組合せと工夫で大きく変わる
GDNは広告配信の目的に合わせて最適なターゲティングができるよう実に多彩なターゲティング機能が用意されています。
組み合わせと工夫次第で様々な施策が可能になりますが、ターゲティングの組み合わせは数え切れないほどありますので、運用者のスキルが大切です。まずは各ターゲティングの機能と特徴を熟知して広告キャンペーンごとにターゲティング設定を変え、繰り返しテストを行なってみましょう。
ユーザーニーズや市場は日々変動するので一度ターゲティングを設定すればそれで終わりではありません。定期的な効果測定で発見したことがあればそれを生かして広告のパフォーマンスを改善することが大切です。