Microsoft広告のメリット、導入時の注意点
すでにGoogleやYahoo!広告に取り組んでいる企業で、Microsoft広告の違いやメリットが分からずに取り組むか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 Microsoft広告は他媒体とは配信面やターゲティングから別のアプローチが可能です。現在Googleやヤフー広告を導入している企業は、追加することで自社の商品やサービスに関心がある新たなユーザーの情報獲得が期待できます。 この記事では、Microsoft広告の特徴とメリット、注意点をご紹介します。
1.Microsoft広告の特徴
Microsoft広告(Microsoft Advertising)はマイクロソフト社が提供する広告配信サービスです。Microsoft Bingなどに広告を配信できます。 リスティング広告をはじめ様々な種類やオプションの広告表示が可能です。
(1).配信場所
マイクロソフト社が提供するブラウザMicrosoft Edgeのデフォルトの検索エンジンBingと連携しています。主な広告表示場所は下記のとおりです。 ・Bing(検索エンジン) ・MSN(ポータルサイト) ・Edge(ブラウザ) ・Outlook(メールサービス) Bingは検索エンジンのシェアを伸ばしています。日本市場ではマイクロソフトの製品はよく利用されており、2022年7月時点ではEdgeがインストールされている端末は7400万台あると発表されています。 Edgeのユーザー層は特徴的で、16〜24歳、45歳以上の年代はGoogleのシェアを上回ります。ユーザーの多い年代に狙える商材がある場合は、他の媒体よりも有利に働くことが期待できます。
(2).BtoB向け広告
全体で見るとGoogleよりシェア数は少ないですが、ビジネスパーソン向けに広告を届けやすいのが特徴です。
日本の企業はWindowsが多く使われており、EdgeはWindowsの既定ブラウザのため、Windowsをよく使う人ほどEdgeを使う傾向があります。また企業によってはEdgeを既定ブラウザと指定する企業もあります。メールソフトOutlookに配信できる点もビジネスパーソン向けでしょう。
Windowsはプライバシーとセキュリティ面で信頼性を獲得しており、信頼できる場所で広告主は活動が可能、購入者も安心できる強みとなっています。
ビジネスパーソンへのアプローチが得意のため、BtoB向け広告との相性が良いです。昨今在宅ワーク増加の影響もあり、ビジネス用のパソコンでビジネスもプライベートの情報も収集する人が増えています。勤務時間中に商品検索や購入を行う人が多いため、BtoB向け広告の効果が大きいと言われているのです。
(3).購買意欲が高いユーザーにアピールできる
マイクロソフトユーザーは購買意欲が高いのも特徴です。マイクロソフトの調査によると、平均的なWebユーザーよりもオンラインで消費する可能性が15%高いという結果が出ています。日本では、回答者の100%が6ヵ月でPCでオンラインショップを行い、回答者のうち51%が勤務時間のうちに商品検索を行い、37%が勤務期間内に購入を行っています。
加えてマイクロソフトユーザーは役職者や高所得者が多いです。高額商品の購買力がある、サステナビリティへの関心が高いといった傾向にあります。高額商材やサステナブル商品を扱う企業にとって集中的なアプローチが可能です。
(4).企業・業種・業界ターゲティングが可能
Microsoft広告はLinkdInのプロフィールを利用してターゲティングが可能です。
LinkdInとはビジネス特化型SNSであり、利用者はプロフィール項目に会社名・業種・業界等を登録しています。
このプロフィールをもとに企業・業種・業界でターゲティングを行うことで、特定の業種や業界に特化した商品やサービスでも、需要を絞ってアピールできます。
Google広告等でも地域や年齢、性別等でターゲティングを行うのは可能ですが、唯一企業ターゲティングができるMicrosoft広告は、BtoB企業マーケティングにとって有利になるでしょう。
(5).広告の種類
GoogleやYahoo!広告と同様にさまざまな配信面があります。
広告の種類 | 特徴 |
アプリインストール広告 | 広告内にアプリをダウンロードするためのストアへ直接遷移するリンクを表示する。 |
動的検索広告 | ユーザーの検索語句と関連性の高い広告を表示する。 |
Microsoft オーディエンス広告 | ユーザーの検索履歴やユーザー属性情報などの情報を活用して、コンバージョンが見込まれるユーザーに関連性の高い広告を表示する。 |
マルチメディア広告 | 広告内に大きな画像を表示し視覚的なアピールが可能。 |
レスポンシブ検索広告 | 作成時に最大15個の見出しと最大4個の説明文を設定すると、その中から最も効果が見込まれる組み合わせを自動的に生成・配信する。 |
バーティカル広告 | Microsoft AIによってカスタマイズされた広告を生成する。 |
(6).他媒体からのインポートで手軽な設定
Google広告およびFacebook広告の設定をインポートすることが可能です。1から設定する必要がないため広告導入の工数を削減できます。
インポートしてから細かい部分をカスタマイズすると良いでしょう。
さらにGoogle広告の自動設定のように、設定した条件に基づいて自動設定・変更できるツールもあります。広告目的に合わせて設定しましょう。
設定できるキャンペーン目的
・ウェブサイトへの集客
・店舗・事務所への集客
・コンバージョンの獲得
・電話問い合わせの増加
・ショッピング広告での売上
2.Microsoft広告のメリット
ショッピング広告枠への配信が可能な点と、Yahoo!広告との連動では設定できない広告表示オプションが使用可能な点がMicrosoft広告のメリットです。
(1).Bing内のショッピング広告枠への配信が可能
ショッピング広告はBingの検索語句に応じて表示されます。
ユーザーは広告上で商品画像や価格、販売者情報を確認することができるため、視認性も高くなり、商品の販売促進と実店舗への集客が期待できます。
なお、Yahoo!広告と連動することでリスティング広告の配信は可能ですが、Bing内へのショッピング広告枠への配信はMicrosoft広告のみです。
(2).Yahoo!広告で設定出来ない広告表示オプションが使用可能
Microsoft広告を導入していなくても、Yahoo!広告を利用してBingの検索結果に広告を配信できますが、Microsoft広告からのみ設定できるオプションがあります。
Yahoo!広告の連動では利用できない、Microsoft広告で利用可能な広告表示オプションは以下です。
広告表示オプション | 詳細 |
行動喚起 (CTA) 表示オプション | リスティング広告欄に「注文」「ダウンロード」といったクリックボタンを表示する。 |
アプリリンク表示オプション | アプリストアに直接遷移可能なリンクを設置する。 |
フィルターリンク表示オプション | 扱っている商材のカテゴリーリンクを表示する。LP以外のリンクが設定できる(Google広告でいう構造化スニペットと似た機能)。 |
画像表示オプション | 広告内に画像を表示し、テキストだけでは伝わりにくい商品やサービスの特徴を伝えられる。 |
住所表示オプション | ユーザーの現在地から最寄りの店舗情報(住所や地図、電話番号)を表示する。 |
価格表示オプション | 商品やサービスの価格を表示する。 |
プロモーション表示オプション | セールやキャンペーン情報などの情報を強調する。 |
レビュー表示オプション | サードパーティーソースのレビュー内容を広告内に表示し、ユーザーに安心感を与える効果がある。 |
動画表示オプション | 広告内に動画を表示する。サムネイルをクリックすると動画が再生される。 |
3.導入時の注意点
・広告の審査時間がかかる
・審査基準が不明。同じ広告でも審査に落ちたり通ったりする
Microsoft広告は日本では2022年に導入されたばかりで、まだ不明確な点やスムーズにいかない点があります。実際に運用している企業からは、特に審査の段階の懸念点が挙げられています。
(1).審査時間が長い
他媒体同様に広告設定後は広告の審査が入ります。マイクロソフト公式によると通常は1日以内に審査が完了するとのことですが、利用者からは審査が長いといった意見が多数見られています。中には設定から72時間以上待っている方も見受けられました。
Google/Yahoo!のリスティング広告は当日中に審査が完了することも多いため、同じ感覚を持っていると危険でしょう。
(2).審査基準は不明確
マイクロソフト公式に審査基準の記載がありますが、実際は同じ内容の広告でもタイミングによって審査が通らなかったり通ったりします。
何が原因で審査に落ちたのかを確認することができないので、再審査の前に何を修正したらよいのかが分かりません。審査→通過せず→修正→再審査→審査期間と多くの時間がかかり、実際に配信できる日は予定よりも遅くなってしまうおそれがあります。
4.まとめ
Microsoft広告の特徴を踏まえ、以下に該当する企業に導入をおすすめできると言えるでしょう。
・BtoB企業
・高額商材やサステナブル商品を扱う企業
・マイクロソフトユーザー層が広告目的と合致する企業
・EC事業を拡大していきたい企業
・現在Google/Yahoo!広告に取り組んでいる企業
Microsoft広告に取り組むことで、Google/Yahoo!広告の配信だけでは取りこぼしかねないMicrosoft EdgeやBingユーザーにアピールすることができます。選択肢を広げる意味でも併用は検討する価値があります。
すでにGoogle広告、Facebook広告に取り組んでいる場合は設定のインポートにより簡単に設定できますし、自動設定により最初の設定の作業負荷は少ないので、まずは導入し様子をみて改善するのが良さそうです。
今後、日本を含め世界的にマイクロソフト広告の市場は拡大していくと予想され、Microsoft広告にますます注目が集まると考えられます。自社に導入するメリットや注意点を考慮して検討してみてください。
参照:
https://markezine.jp/article/detail/39142
https://help.ads.microsoft.com/#apex/ads/ja/56892/1-500