Google広告で難易度の高い審査落ちパターンと対処方法のご紹介
Web広告配信において審査落ちはよくあることですが、中には原因不明であったり解決のために技術者,法律関係に詳しい方への相談が必要なケースも存在し、たかが審査といっても奥が深い分野です。
今回は、中でも「この原因で審査落ちを喰らうと解決までに時間を要する」という審査落ち理由をいくつかご紹介します。
Googleのポリシーの考え方
Googleのポリシーとは、Googleサービスの利用に関する基準をまとめたものです。
すべてのGoogleサービス利用ユーザーにとって安全で信頼できるサービスを維持することを目的として作成されており、自動と手動の両方でポリシーが守られているか確認しています。
ポリシーに違反した、または違反する恐れがあるコンテンツ・行為について報告された場合、Googleはそれを審査し、コンテンツの削除等の措置をとる可能性があるのです。
また、Googleにはさまざまなサービスがあるため、それぞれでポリシーが違います。
Google広告のポリシーは、広告が出稿される国における法律を守るだけでなく、ユーザーの安全性と利便性を高めることを目指して作成されたものです。
よって、Google広告においてはユーザーや広告エコシステム全体にとって有害であると思われる一部のコンテンツが禁止されます。
Googleのポリシーの考え・目指すものに沿ってコンテンツを作成することで、ポリシーに違反したコンテンツを作成してしまう可能性は大幅に減らせるのです。
Google広告の審査の仕組み
Google広告の審査の仕組みについて紹介します。
押さえるべきは「審査対象」と「審査期間」の2つです。
審査対象
Google広告において審査対象となるのは、広告内のすべてのコンテンツとなっています。
代表的なものは、以下の項目です。
広告見出し
説明文
キーワード
リンク先
画像や動画
すべての項目のうち1つでもポリシーに違反しているものがあれば、その広告は審査落ちとなり、違反内容を修正したうえで再審査を申請する必要があります。
たとえば、広告の見出し、説明文などが審査基準をクリアしているにもかかわらず、リンク先のランディングページが正常に機能しないなども問題を抱えていると、審査落ちとなるのです。
どこがポリシーに違反しているか具体的に示されないケースも多いので、審査に落ちるとどの部分を修正するべきなのかわからなくなりがちです。
Google広告がどの基準で審査されているのかは、ポリシーを熟読して把握しておきましょう。
審査期間
Google広告の審査は、広告・アセットを作成または編集すると自動的に開始されます。
その間、広告ステータスは「審査中」と表示され、審査を通過した広告はステータスが「有効」になり、ポリシー違反が見つかった広告はステータスが「不承認」になるのです。
審査は通常1営業日以内に終了します。
しかし、込み入った審査が必要となる場合はさらに時間がかかることがあり、システム運用の全体的な安定性を確保するために審査順番が前後する可能性もあるのです。
2営業日を過ぎても審査が完了しない場合は、ヘルプセンターへ問い合わせましょう。
Google広告のポリシー違反の4つの種類
Google広告では以下4つのポリシー違反が存在します。
上記画像はGoogle広告ヘルプページからの引用ですが、上2つ(禁止コンテンツ、禁止されている行為)が完全なNGでレッドカード、3つめ(制限付きのコンテンツと機能)は注意レベルのイエローカードというイメージであり、4つめ(編集基準と技術要件)はアドバイスというレベルです。
上2つに該当してしまうと、ポリシー違反による広告の停止もしくは、広告アカウントの停止になります。
また、Google広告ヘルプページの記載によると、もし何度もポリシー違反を繰り返すような悪質な場合、MCCアカウント自体の停止になる可能性も示唆されているのです。
広告コンテンツを作成したら、上の項目からポリシーとコンテンツを照らし合わせ、ポリシー違反もしくは違反する恐れがないかチェックしましょう。
難易度が高いポリシー違反の種類
難易度が高いポリシー違反の例を紹介します。
あくまでも弊社が経験のあるものの中からとなるため、実際にはここでご紹介する違反以外にも存在すると思います。
法律: 日本
特に医療系(クリニックなど)で多く発生しますが、「医療広告ガイドラインに準拠した記載になっていない」ことが原因です。
「法律:日本」がついた場合、日本での広告配信は不可となります。(日本の法律に基づいていないことが理由)
何らかの法律に準拠していない記載がページ内に存在することが原因ですが、Google広告のヘルプに問い合わせを行ってもサポート自体が明確な回答をもっておらず、ぼやかされてしまうことが多いです。
以下の対処事例のフローを参考にしてみてください。
●回避した対処事例:某美容形成クリニックの場合
①クライアント(医師免許を持っている方など)に報告相談を最優先で実施。
②クリニック側へ改めて法的な表現に問題がないかチェックの依頼。
③広告運用者側でGoogle広告に問い合わせ。情報を可能な限り引き出す。
④医療広告ガイドライン(医療広告ガイドライン・厚生労働省PDF)と照合し入念にチェック。
⑤Googleから指摘をもらった箇所を対応(ビフォーアフター画像削除など)。
⑥Google広告に再審査を提出。
①②③については、解答速度に差があるので、早めに実施することで再依頼までの期間を短縮可能です。
④についてはある程度、広告運用者側で進行出来るため、①〜③の解答を待ちつつ④を進行し、仕上げで⑤の作業するようなイメージで進めましょう。
不正なソフトウェア
ワードプレスなどでWebサイトを作成している場合、プラグインなど経由でマルウェア(ワーム、トロイの木馬など)が侵入している可能性がある場合に「不正なソフトウェア」のアラートが表示されます。
ただし、「不正なソフトウェア」はGoogleの審査システムによる誤審査のケースも多いため落ち着いて順を追って対応することがおすすめです。
ここで、審査落ちを回避した対処事例のフローをご紹介します。
●回避した対処事例:某コラーゲンマシン
①まずはクライアントに事象を報告(以前も同様の事象が発生したことが発覚)。
②Google広告に問い合わせ。
③Google広告から原因箇所の指摘をもらう(コード内の●●の文言が原因である可能性あり)。
④デザイナーに原因箇所のコードを削除依頼。
⑤再審査請求→NG。
⑥ワードプレスなどのプラグインチェック、削除。
⑦エンジニアに依頼しマルウェアチェッカーに複数社通す(例:Googleセーフブラウジング等)。
⑧再審査請求→NG
⑨最終的に原因が分からず(サーバー自体が汚染されている可能性あり)。
⑩サーバー切り替えのご提案、新サーバーの手配、切り替えの実行。
ここまでやりきれば、サーバー切り替えの根拠としては十分だと判断できます。
逆にいうと、⑦の手順などを飛ばしてサーバー切り替えを提案するような流れだとやや不十分な印象です。
サーバー移管の工数を考えると出来るだけ、現行サーバーを使用できるように最善を尽くし、万策尽きたら最終手段として⑩を実行しましょう。
広告掲載システムの回避
Google広告のポリシーによると、「審査検出の回避を目的として、意図的に広告文、画像、動画、ドメインを不正に操作すること」と記載されてます。
例えば、『Google広告の審査では「ボツリヌス」という表記が禁止されているため、審査を回避するために、Google広告のクローラーが読み込めない形で「ボツリヌス」という表記を隠して、ユーザーにだけ表示させる』といったことが例として挙げられます。
ただし、弊社の経験上、このようなポリシーに違反する行為を行っていないにも関わらず、上記ポリシー違反になるケースが多く発生しています。
上記ポリシー違反になると、理由を問わず一旦広告アカウントが停止され、広告配信が実施できなくなります。
その後問い合わせの結果次第ではアカウントが再開されますが、その間約1週間ほどの間、該当の広告アカウントではGoogle広告の配信ができない形となります。
対策としては以下が挙げられます。
●「広告掲載システムの回避」を受けた場合の対処方法
・まずは再審査請求の実施 + クライアントへの報告
・別アカウント、別MCCでの立ち上げ試行
・別アカウントでも審査NGの場合は、別媒体での配信をクライアントに打診
思い当たる節がなく、上記対応でも審査NGとなる場合は、Google広告での配信は一旦諦めたほうが良いです。
別媒体での配信をご提案しつつ、Google広告サポートや審査部への問い合わせを根気強く行いましょう。
審査落ち時は迅速で正確な対応が重要
Google広告に限らず、Web広告での審査落ちは避けられない事象です。
予期せぬタイミングで起こり得るため、常に監視やアラートの確認をしながら、発生時には迅速なクライアントへの報告と説明が重要です。
審査NG自体が発生すること自体は、やむを得ないため、代理店・運用会社側の責任ではありませんが、その報告や対応には責任があります。
発生した事象を正確にクライアントに連携し、状況の共有をしていくことが第一です。
ぜひ今回ご紹介した審査落ちを回避した事例も参考にしてみてください。