GDN広告の配信面の種類とターゲティング方法について

「ディスプレイ広告」とは、閲覧中のウェブサイトやアプリ、動画サイトなどの画面に表示される広告のことです。中でもGoogleを通じて出稿できるディスプレイ広告を「GDN広告(Googleディスプレイネットワーク広告)」といい、実に200万以上もの様々なウェブサイトを利用するユーザーに広告を届けることができます。今回はGDN広告の配信先の指定や、ターゲットの絞り込みなどの方法をご紹介します。
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1.GDN広告の配信面の探し方
GDN広告は、Googleのサービスを利用しているウェブサイト・ YouTube 動画・Gmail・モバイル端末・モバイルアプリを利用しているユーザーに、画像・テキスト・動画による広告を表示できます。商品・サービスを認知していない潜在層にアプローチできることから、広告のリーチの幅を広げたいときに適しています。まずは、GDN広告の配信面の検索方法について見ていきましょう。
(1)「Google広告管理画面」で検索
Google広告の管理画面にログインし、「新しいキャンペーンを作成」をクリックすると、下記の画面が表れます。

「販売促進」や「見込み顧客の獲得」など、広告の出稿によって達成したい目標を選びます。それに適した広告の種類(キャンペーンタイプ)が表示されるので、GDN広告を表す「ディスプレイ」を選択します。

今回の記事では「標準のディスプレイキャンペーン」を選択します。

ターゲット設定は、「自動設定」と「手動設定」から選択できます。より自社に適した広告掲載の場所を自身で指定したいなら「手動設定」を選択します。
ターゲットとするユーザーが多く利用していてコンバージョンにつながりそうなウェブサイトや動画などが明確にわかっている場合は、その場所への広告表示を狙うことができます。

コンテンツとは、GDN広告を表示できる場所を指します。「キーワード」で関連性の高い配信先を指定する方法、「トピックス」でカテゴリを指定する方法、特定のウェブサイトや動画、アプリを指定する「プレースメント」という方法があります。 「プレースメント」を選んで編集画面を表示しましょう。

プレースメントは以下の6つの方法で検索します。ここで希望するウェブサイトや動画、アプリにGDN広告枠が存在するかどうかを検索して、配信先として指定することができます。
①「ウェブサイト」ごとに検索する
URLやタイトル、関連する単語やフレーズで特定のウェブサイトを検索できます。
②「YouTubeチャンネル」ごとに検索する
URLやチャンネル名、関連する単語やフレーズでYouTubeチャンネルを検索できます。
③「YouTube動画」ごとに検索する
URL、動画タイトルや動画ID、関連する単語やフレーズでYouTube動画を検索できます。
④「アプリ」ごとに検索する
関連する単語やフレーズでアプリを検索できます。
⑤「アプリのカテゴリ」ごとに検索する
アプリをカテゴリごとに一括で指定したい場合は、141のカテゴリの中から選択できます。
⑥「複数のプレースメントを入力」し指定する
上記の1~5のプレースメントをいくつか組み合わせて指定することも可能です。
(2)「Google検索」にて手動で検索
実際には広告枠が存在しているのに、Google管理画面でプレースメントの検索結果に表示されないページもあります。その場合は、手動でURLを入力して指定することができます。入力の際、シミュレーション数値が0となっても広告枠が実際に存在していれば問題ありません。
手動検索は、Google広告管理画面の機能に頼らずに「Google検索」を使用します。
日ごろGoogleでネット検索をするように、「美容 人気メディア」「ビジネス ニュースサイト」といったキーワードを検索窓に入力します。検索結果の上位にくる人気サイトをチェックして実際にGDN広告枠が存在していることがわかれば、プレースメントでウェブサイトのURLを直接登録するというアナログな方法です。 広告枠のチェック方法は以下のとおりです。

上記の画像のように、広告枠の角に小さく「Ads by Google」と記載があれば、基本的にGDN広告の配信が可能です。ただし、こうした広告枠はGDN広告のためだけの場所とは限らず、YDN(Yahoo!を通じて出稿された広告)やその他のアドネットワーク広告と枠を共有していることがあります。「Ads by Google」と表示されなくても、何度かリロードをしてウェブサイトを読み込み直してみてください。
2.GDN配信先選定の主な注意点3つ
GDN配信先を選定する際に、知っておきたいことが3つあります。
注意1. 広告枠があるからといって100%表示されるわけではない
Google広告枠が設けられていても、必ず自社の広告が配信できるわけではありません。ウェブサイトの運営側が、プレースメントでの指定配信を拒否しているケースもあるからです。
注意2. 広告が表示される量は、条件によって変動する
Google広告枠への配信量は、サイトのPV数、競合の広告主数、自社の広告の品質などの条件に左右されます。
例えば配信を希望する競合の広告主が多い場合、自社の広告が掲載される比率は下がります。
また競合がいないケースでも、自社の広告の品質が低いと判断された場合は表示が叶わないこともあります。
最大配信数の推測には、シミラーウェブなどの競合調査ツールを使用して目安のPV数から最大配信数を見積もることができます。配信量が物足りない場合も想定してあらかじめ最大の配信数を見積もっておき、状況に応じて他の配信先も確保しておくと良いでしょう。
注意3. 突然、広告枠の提供を廃止されることがある
GDN広告枠はウェブサイト運営者の意向によって提供されているため、突然提供が止まることも珍しくありません。広告枠の廃止は予告なく行われるものなので、配信先が1つ廃止になっても不都合のないように、複数の配信場所を設けておくのがベターです。
3.GDN広告の配信形式について
GDN広告には大きく分けて4パターンの配信形式があります。どの形式で配信するかはアカウントの利用実績などに関わるので、自身で選択することはできない仕様になっています。
(1)「画像バナー形式」で配信
Googleのサービスを利用しているサイトに、静止画やアニメーションなどの画像広告が表示されます。

(2)「レスポンシブ形式」で配信
広告枠に合わせて、サイズ・表示形式・フォーマットが自動で調整されます。下記の画像の例では、横長の広告枠の中に画像バナー形式とテキスト形式の広告の組み合わせで表示されています。

(3)「ネイティブ形式」で配信
画像とテキストを用いて、まるでコンテンツサイトの記事のうちの一つのように広告が表示されます。

(4)「テキスト形式」で配信
見出しや説明文、URLなどの文章の組み合わせで表示されます。

(5)「アプリ訴求広告」で配信
アプリのダウンロードを促進するなどの仕掛けをした広告が表示されます。

(6)「動画」の広告枠に配信
動画コンテンツ内や、単体の動画広告として表示されます。

(7)「商品ショッピング広告」として配信
関連商品を探しているユーザーに対して、自社の商品写真・見出し・価格・店舗名などが表示されます。

(8)「電話専用広告」に配信
電話番号を含む文章の広告が表示されます。

4.その他のターゲティング方法
ここまでは、広告が掲載される「配信先」を指定する方法をご紹介しました。ここからは、広告を表示する相手である「ユーザー」のターゲティング方法を見ていきましょう。「配信先」と「ユーザー」のターゲティング手法は、複数を組み合わせることで成果の向上を狙えます。
(1)「オーディエンスターゲティング」について
ユーザーの属性や長期的に興味・関心のある物事、タイムリーに熱中している物事などからターゲティングを絞り込み、広告を表示します。
①「ユーザーの基本属性」で絞る
性別(男女)、10歳区切りの年齢、子供の有無、世帯収入(上位◯%など)の4つの基本的なユーザー属性を絞り込めます。
②「詳しいユーザー属性」で絞る
配偶者の有無、住宅を保有しているかどうか、子供の年齢など、上記の項目よりも詳しい属性に基づいたリストをターゲティングします。
③「アフィニティカテゴリ」は長期的な興味・関心をカテゴリで絞る
「アフィニティ」の直訳は、親近感や親密な関係性のことです。趣味や習慣などの特定のカテゴリに関心を寄せるユーザーをターゲティングします。 あらかじめ用意された数百もの分類の中から、自社の商品・サービスにあった項目を設定できます。
④「カスタムアフィニティ」は長期的な興味・関心をキーワードで絞る
上記のアフィニティカテゴリよりも絞り込んだターゲットにアプローチできる方法です。例えば、「運動が好きな人」の中でも「熱心にヨガをする人」に絞り込んで広告を表示できます。自由なキーワードで設定が可能です。
⑤「カスタムインテント」は購買意欲の高いユーザーをキーワードで絞る
特定の商品・サービスを検索していたり、ランディングページを閲覧していたりなど、購買意欲が高いと推察されるユーザーに対してアプローチする方法です。こちらも、自由なキーワードでターゲティングできます。
⑥「ライフイベント」に基づいて絞る
学校への入学、卒業、結婚、引越しなど、人生の重要なタイミングに合わせて広告を表示します。ライフイベントに伴う必然的な購買行動を狙うことができます。
⑦「リマーケティングと類似配信」はサイトの行動履歴で絞る
ウェブサイトの過去の行動履歴から推察して、既に自社の商品・サービスに興味・関心を持っていると判断されるユーザーにアプローチできます。
(2)「キーワードターゲティング」について
指定した単語やフレーズに基づいて、ユーザーが関心を寄せるウェブサイトやアプリ、動画に広告を配信できます。キーワードは、広告の内容と直接関係がないものでも設定できます。
(3)「トピックターゲティング」について
自社の商品・サービスと相性の良い特定のトピックを選択し、関連するウェブサイトやアプリ、動画に広告を配信する方法です。トピックは「ゲーム」「健康」「自動車」など、数百ものカテゴリの中から選択できます。
5.弊社事例紹介
ここまでは、GDN広告の配信面の探し方やGDN配信先を選ぶ際の注意点、ターゲティング方法などについて見てきました。
ここからは、弊社が実施している広告運用の事例を紹介します。
成功事例及び失敗事例をそれぞれ取り上げ、詳しく解説します。
解説する内容については、以下の5項目です。
①取扱商材について
②広告の実施期間
③使用した広告メニュー(媒体)
④今回の広告出稿の際のポイント
⑤広告の効果と検証結果
では、まず成功事例から解説します。
成功事例
①取扱商材について
時計や計算機、楽器などの製品を製造する国内大手メーカーのオンラインショップで販売されている商品を商材として取り扱っています。
こちらはBtoC(企業が一般消費者を対象にモノやサービスを提供するビジネス形態)向けの通販サイトとなっています。
②広告の実施期間
2016年頃に上記通販サイトの広告運用を開始しました。
定期継続の案件として、広告運用を行っています。
③使用した広告メニュー(媒体)
広告については、以下の2種類を使用しています。
- GDNリマーケティング配信
GDNのリマーケティングとは、Google広告によって特定のユーザーに配信する広告です。
特定のユーザーとは、自社サイトやランディングページへ訪問したことがあるユーザーを指し、サイトへの再訪問を促す広告の配信手法です。
- Googleリスティング広告(別名:GSN広告)
Googleリスティング広告とは、Googleの検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告のことです。
ユーザーが検索したキーワード(検索語句)に連動した広告が掲載されます。
④今回の広告出稿の際のポイント
GDNリマーケティング配信及びGoogleリスティング広告の2種類の広告を運用しましたが、GDNリマーケティング配信の成績が悪化する傾向が見られました。
広告を出し始めた頃、CPA(顧客獲得単価:1件の成果や顧客を獲得するために、どの程度の広告費用がかかったのかを表す数字)は2,000円台でした。
しかし、運用を続けていると4,000円台まで上昇したのです。
この時、オンラインショップに使用されているサイトのドメイン変更がありました。
具体的には従来のドメインから新しいドメインへと切り替えが発生しており、リマーケティングリスト(サイトにアクセスしたユーザーのリスト)の刷新ができていなかったことがCPA悪化の原因として想定されました。
⑤広告の効果と検証結果
上記の問題を解決するため、新ドメインでのリマーケティングリストを作成しました。その結果、CPAに変化が現れ、改善傾向が見られるようになりました。
続いて、失敗事例を解説します。
失敗事例
①取扱商材について
栄養士監修のレシピ付きミールキットのデリバリーサービスを商材として取り扱っています。
こちらはBtoC及びBtoB(企業が企業を対象にモノやサービスを提供するビジネス形態)向けの通販サイトとなっています。
②広告の実施期間
昨年の2021年10月から上記のデリバリーサービスを行う企業サイトの広告運用を開始しました。
現在に至るまで継続して広告を運用しています。
③使用した広告メニュー(媒体)
広告については、以下の2種類を使用しています。
- GDN広告
この記事の冒頭でもお伝えしましたが、GDN広告は、Googleのサービスを利用しているウェブサイト・ YouTube 動画・Gmail・モバイル端末・モバイルアプリを利用しているユーザーに、画像・テキスト・動画で広告を表示します。
- GSN広告
前述したGoogleリスティング広告です。
④今回の広告出稿の際のポイント
2022年3月から「プロスポーツチーム」の訴求を含めたバナー・広告文に切り替えました。
理由として、上記ミールキットのデリバリーザービスを行う企業とプロスポーツチームとがコラボレーションしたレシピ&オリジナルグッズ付きミートキットの商品を提供していることが挙げられます。
その結果、広告運用を開始し始めた頃と比べ、広告のクリック率は上昇しました。
しかし、レシピ付きミートキットではなく、プロスポーツチームのオリジナルグッズである特典を目的に広告を通してサイトへ流入するユーザーが増えました。
そのため、CV数(コンバージョン数:ウェブサイトを訪問したユーザーが問い合わせや資料請求したり、通販サイトで商品を購入したり、最終目的の「成果」につながった行動を指します)は、減少傾向となりました。
⑤広告の効果と検証結果
上記の問題を解決するため、弊社では次の検証を予定しています。
上記企業が提供するレシピ付きミールキットは検討期間が長く、12日程度あります。
したがって、1ヶ月程度様子を見て、プロスポーツチームのグッズを目的にしているユーザーが戻ってくるかどうか検証します。
その後、ユーザーが戻ってこない場合は、特典として付いているプロスポーツチームのグッズへのインセンティブ訴求を止め、あえて広告のクリック率を下げる施策を予定しています。
6.まとめ
GDN広告は、ユーザーが日常的に使用しているアプリや動画サイト、ウェブサイトなどに配信することができるので、自社の商品・サービスブランドの潜在顧客にアプローチする有効な手段です。
まずは様々なターゲティングの特徴を学びながらテストを重ね、最適なウェブ広告の配信を目指してみてください。
参考サイト
・https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/campaigns/display-ads/
・https://support.google.com/google-ads/answer/2404190?hl=ja
・https://anagrams.jp/blog/all-of-managed-placements-target/
・https://enpowers.co.jp/ディスプレイ広告のメリットとgdnの具体的な設定/
・https://ads.google.com/home/campaigns/display-ads/?subid=ww-ww-et-g-aw-a-helpcenter_1!02
広告のフォーマットを選択する
https://support.google.com/google-ads/answer/1722124#campaigns_adformats
オーディエンス ターゲティングについて
https://support.google.com/google-ads/answer/2497941?hl=ja
キーワードによるコンテンツターゲット
https://support.google.com/google-ads/answer/2769374?hl=ja
トピックターゲット
https://support.google.com/google-ads/answer/2769377?hl=ja&ref_topic=2736993