そのクリエイティブ比較、本当にABテストになっていますか?
Web広告やサイト改善でよく用いられる「ABテスト」。Web広告のクリエイティブ比較で使われる場合、単純に2つや3つの広告画像を入稿して、どちらがクリック率が高いか、CV率が高いかを比較して結果が良いものを残すという方法が一般的だと思います。
しかし、その方法で本当に広告の成果を改善できるでしょうか。今回はABテストの方法について考えてみました。
一般的な広告バナーのABテスト方法
先述のとおり、一般的な広告バナーのABテストは単純に2パターンのバナーを作成し、そのCTRもしくはCVRを比較して成績が良いバナーのみに絞るという方法です。
例:転職エージェントサイトのプロモーションの場合
(弊社が制作したイメージバナーです)
ABパターンで広告文は同じで、画像だけを女性→男性などに変更することが多いと思います。
例えば、上記の配信結果としてA案の女性バナーのほうがCTRが1.5倍高い場合、B案を削除して、A案の派生パターン(別の女性を起用したバナー)を新たに追加するという施策になり、この流れを繰り返していくことになります。
すると数カ月間バナーのPDCAを回した結果、たくさんの女性バナーが並ぶことになると思いますが、果たしてこの状態が最も良いバナー選定と言えるのでしょうか?
・男性からのCTRは高いが、女性ターゲットからの反応は本当に良いのか?
・男性、女性という視点以外で、新パターンのバナーを入れる必要はないか?
といったように、別の視点でも考えていく必要が出てくるかと思います。
理想的なABテストの方法
そもそも複数パターンの画像を作成する段階で、どのようなパターンのターゲットがいて、それぞれに刺さると想定される訴求はなにか?ということを考える必要があります。
例えば、転職エージェントの訴求では大まかに以下4つのターゲット・訴求に分解できます。
上記4つをターゲットに設定する場合は、各ターゲットに対して最低1つ以上のバナーが必要です。
当然のことですが、ターゲットによって、興味を惹かれる訴求やビジュアルは異なります。(「男性×Webマーケティング経験者」が「女性でも働きやすい」というバナーを見ても全くクリックする気になりません。)
あくまでもターゲット毎にABテストを実行することが前提で、ABテストによって、上記4パターンいずれかのバナーを削除してしまっては本末転倒です。
Web広告の世界ではCTRやCVRをベースに良い・悪いの判断を下してしまうため、「そもそも、このターゲットに対するバナーが設定できていないのでは?」といった視点になりずらいのが難しいところです。
まとめ
Web広告代理店は、クライアント様と数字をもとにコミュニケーションを取れることが強みですが、一方で数字だけに囚われて根本的なことを見失ってしまう場合もあります。
CTR,CVRだけでなく、各ターゲットに対して適切なバナーが設定できているかを確認してABテストに取り組みましょう。