【初心者でもOK】運用型広告「TikTok For Business(旧:TikTok Ads)」の始め方
若い世代からの人気が高いSNS「TikTok」には、楽しくユニークな動画投稿があふれています。そんなポジティブな感性の投稿フィード内に配信できる運用型広告「TikTok For Business(旧:TikTok Ads)」への注目度も高まっており、運用型広告の初心者でも始めやすいようにサポートツールが強化されています。
今回は、TikTokがSNS広告として注目されている理由や、TikTok For Businessのアカウント開設から運用方法についてなどをご紹介します。
1.急成長中の広告媒体「TikTok」とは
「TikTok」とは、ByteDance株式会社が運営する人気急上昇のショートムービープラットフォームです。公式サイトによると、世界中の150の国と地域で展開しており、アプリダウンロード数は5億以上にものぼるそうです。
TikTokのミッションは「創造性を刺激し、喜びをもたらすこと」と掲げられており、動画編集の知識がなくても「TikTokらしい」編集ができる機能が充実しています。こうした楽しさ・ユニークさといった感性が文化として育まれているところが、世界中の若い世代からの支持を集めています。
投稿できるのは最大60秒の縦動画なので、スマホを縦方向に持ったまま動画を閲覧できます。すきま時間やちょっとしたタイミングにも手軽に視聴できるので、日常に浸透しやすかったことも人気の理由といえそうです。
(1)リアルを好むTikTokユーザー
2017年に「インスタ映え」が流行語大賞を獲得したように、SNSでの画像や動画の投稿は見映えの良さが重視されてきました。そんな飾り立てられた「映え」ばかりあふれる状況に疲れて「SNS離れ」という現象まで起きています。そんな現実味の薄い投稿に食傷気味なユーザーがTikTokに流れているといわれています。
情報過多の現代に育った若い世代にとっては、背景にスポンサー企業の存在を感じるような広告や投稿よりも、より等身大に近い一般ユーザーの口コミを好意的に感じる傾向があると考えられそうです。
2.運用型広告「TikTok For Business」
TikTokの運用型広告のことを「TikTok For Business」といいます。かつては「TikTok Ad」という名称でした。明らかな広告枠への配信ではなく、一般アカウントが投稿するフィードと同じ画面に広告を表示できるので、クリエイティブの内容によっては「広告の押し付け感」が抑えられることがポイントです。
(1)注目度が高まる理由
幼い頃からスマホに親しんでいるスマホネイティブの若い世代は、動画での情報収集が当たり前になっています。このことが、動画を主なフォーマットとするTikTok For Businesが広告媒体として注目される主な理由として挙げられます。
また、TikTok For Businessは他のSNS広告と比べて高い精度のAIを搭載していることも注目すべきポイントです。中でもユーザーの興味関心や閲覧履歴などを分析する「レコメンド機能」が優れており、コンバージョンを得やすいターゲットに絞り込んで広告を配信できます。
さらには少額から運用が可能なので、SNS広告の初心者でもチャレンジしやすく費用対効果が高いことも好評を後押ししています。
(2)配信先
ByteDance株式会社が運営するアプリで運用できます。日本国内では、TikTok、BuzzVideo、の3つのアプリに対応しています。
さらに、TikTok Audience Networkに属する他社運営アプリにも配信が可能です。10~30秒の動画を1日1,000万回再生分を確保できるので、多くのユーザーへのリーチが期待できます。
(3)配信面
・ネイティブ広告>インフィード広告
・起動画面広告
・ハッシュタグチャレンジ
(4)課金形式
TikTok For Businessの課金形式は入札制で、下記の4種類の方法で広告単価が決定する仕組みです。
・「CPM(インプレッション課金型)」は広告が1,000回表示されるごとに料金が発生します。
・「CPC(クリック課金型)」は広告表示だけでは料金がかからず、クリックされてリンクに遷移した場合に課金されます。
・「oCPC(最適化クリック課金型)」はクリック課金型と同様の仕組みで、ユーザーのコンバージョン確率に応じてクリック単価が自動で調整されます。
・「CPV(再生課金型)」は広告が一定時間以上再生されると料金が発生します。
(5)広告配信目的
TikTok For Businessを配信する目的として、リンク先のクリック数を増やす目的の「トラフィック」、アプリのインストール数を増やしたいときの「アプリインストール」、購入や登録などを増やしたいときの「コンバージョン数」という項目を選択できます。
(6)広告フォーマット
TikTok For Businessで配信が可能な広告フォーマットは9:16の縦型動画が基本ですが、他にも1:1スクエア動画、16:9横型動画、1200×628横長画像が配信できます。
(7)ターゲティングの種類
TikTok For Businessでは、性別、年齢、地域、言語などの基本属性や、興味関心のカテゴリなど、11種類の項目でターゲットを選択できます。条件を変えながらテストを重ねれば、広告効果の高いターゲットを絞り込むことができます。
3.「TikTok For Business」は運用サポートツールが充実
TikTok For Businessには、Web広告を初心者でも気軽に制作できるように、広告クリエイティブについてのサポートツールが用意されています。
(1)クリエイティブをサポート「動画作成ツール」
動画制作の知識がなくてもあらかじめ用意されているテンプレートや300曲以上のBGM、自分が用意する複数の画像を組み合わせて動画を作成できます。手動での組み合わせはもちろん、AIによる自動生成も可能です。例えば、動画素材を用意できなくても複数枚の画像があればスライドショー形式の動画を簡単に作成することもできます。
(2)クリエイティブを自動作成「ダイナミック広告」
画像、動画、テキスト素材を組み合わせてオリジナル動画を自動作成してくれる機能が「ダイナミック広告」です。こちらも高性能なAIが自動で作成してくれるので、クリエイティブ制作を外部発注する予算や手間、時間を大幅に抑えられます。
(3)動画広告制作に特化したアプリ「TikTok AdStudio」
スマホで撮影した動画にエフェクトや文字を加えて、いわゆる「TikTok風」に編集できる無料アプリ「TikTok AdStudio」も用意されています。BGMの組み合わせや再生速度の調整もこのアプリなら直感的で簡単に操作できます。
(4)初心者も安心「入稿サポート機能」
広告のデータ入稿には、広告枠に合わせたサイズや保存形式などの規定、画像見本となるサムネイル、動画のCTA(コールトゥアクション)の説明文など、様々な素材が必要です。こうした入稿のための素材の準備をサポートしてくれる機能がついているので、初心者にも安心です。
4.「TikTok For Business」の始め方
では、TikTok For Businessを始めるためのステップをご紹介します。
Step1.アカウントを開設する
まずは、TikTokアカウントの開設が必要です。TikTok広告マネージャーにて、基本情報(所在地・目的・広告アカウント名・メールアドレス・パスワード・電話番号)を登録し、メールアドレスに送信される検証コードを入力すればアカウントが取得できます。
Step2.クリエイティブを制作する
次は、配信する広告の素材を用意します。自社で独自に用意したデータでも構いませんが、先ほどご紹介したTikTokの動画作成ツールで手軽に制作もできます。
ユーザーに動画広告をスキップされないためにも、最初の数秒のインパクトに注意を払いましょう。またテンポの良いBGMを選ぶことや、リアリティに欠ける「広告感」を抑えることも、TikTokユーザーからの好感度が上がるポイントです。
Step3.キャンペーンを作成する
そして、「キャンペーンを作成」に進みます。新規作成の場合は、プロモーションの目的(ブランド認知・購買意向・コンバージョン)のいずれかを設定します。
ブランドを知ってもらうためにできるだけ多くの人に広告を配信したい場合は「ブランド認知」を選択します。特定のWebサイトやアプリダウンロード先に誘導したい場合は「購買意向」を、Webサイト上でユーザー登録や商品の購入などの特定の行動を促すようなプロモーションを図りたい場合は「コンバージョン」を選択します。
Step4.広告セットを作成する
下記の項目を設定して、広告セットを組み立てていきます。
・広告セット名
・プレースメント(広告配信アプリ)
・プロモーション目的
・表示名
・プロフィール画像
・カテゴリ
・広告タグ
・広告の配信方法
・配信対象(ターゲティング)
・予算
・スケジュール
・課金形式
・入札単価
Step5.クリエイティブを設定する
ここで、Step2で用意したクリエイティブファイル(動画または画像)をアップロードします。
Step6.ビジネス情報と支払い情報を登録する
ビジネス情報と支払い情報を登録していきます。ビジネス情報はTikTokが領収書を発行する際に使用するので場当たり的なものではなく、法人登記と一致する内容にしておきましょう。
Step7.クリエイティブ審査を受ける
最後に、クリエイティブの審査が入ります。審査終了までは1〜2日かかります。この期間中は、管理画面の広告セットが「未配信(新設審査中)」となっているはずです。審査が通らない場合はクリエイティブを練り直す必要があります。
Step8.広告配信が始まる
広告セットの状態が「配信中」となったら、いよいよ広告の配信が始まります。配信が始まってからも管理画面で成果がリアルタイムに確認できます。こうしたデータを解析して改善を重ねいきましょう。
まとめ
近年、TikTokは世界中の若い世代から支持されてユーザー数は急拡大していますが、まだ運用型広告「TikTok For Business」の出稿広告主は多い状況には至っていません。TikTok For Businessの課金方式は入札制のため、競合が多すぎない今なら広告単価も比較的高額にはならないでしょう。
また、広告のわざとらしさを嫌うTikTokユーザーに向けた施策にいち早く取り組めば、デジタルマーケティングの進化のスピードに乗り遅れずに済むかもしれません。
ぜひ他社がTikTok For Businessの広告出稿に取り組む前に、チャンスを逃さず着手してみてください。