LINEとYahooの統合で広告はどのように変わったのか?
2023年10月1日にYahoo!とLINEが統合しました。
それによってWeb広告にどのような影響があるのでしょうか。
この記事では、LINEとYahoo!の統合によるYahoo!広告の変更点及びLINE広告の変更点を解説します。
それぞれの媒体の活用方法も解説しているので、現在Yahoo!広告やLINE広告を運用中もしくは運用を考えている方は参考にしてください。
1.LINEとYahooの統合について
2023年10月1日、ヤフー株式会社とLINE株式会社を中心に合併を行い、LINEヤフー株式会社となりました。それに伴いプライバシーポリシーの統合とアカウントの連携が行われました。
特にマーケティングの観点からは、アカウント連携による影響をチェックしておきたいところです。
ヤフーとLINE、アカウント連携
10月4日から、LINEとYahoo!JAPANのアカウント連携が始まり、各アカウントの登録情報の一元管理が可能となりました。
これまで別々のサービスの1ユーザーだったものが、1人として認識されるため、これまでよりも精度の高いマーケティング情報の収集・分析が可能となります。
たとえば、ヤフーショッピングで商品を購入したユーザーに対して、LINEアプリへも関連する広告を配信することが可能となります。
2.Yahoo広告側での変更点
LINEとYahoo!の統合による、Yahoo広告への影響や変更点を確認しましょう。
従来もYahoo!ディスプレイ広告の管理画面からLINEアプリに広告の配信が可能でしたが、配信面が広がります。また、LINE公式アカウントがなくてもLINE広告を運用可能となります。
配信面が広がる
まず、Yahooディスプレイ広告の配信面にLINEアプリの動画広告が追加されました。レスポンシブ動画広告の配信が可能となります。
さらに、10月4日からLINEアプリの「ニュース」タブの画面内に動画広告が配信されるようになります。従来はLINE広告で設定可能でしたが、Yahoo!ディスプレイ広告からでも配信ができるようになります。
Yahoo!広告からLINE広告を配信するメリット
LINE広告は今まで通りLINE広告から設定可能ですが、Yahoo!から配信するメリットがいくつか考えられます。
①Yahoo!が持つデータを連携できる
Yahooディスプレイ広告の管理画面からLINEアプリ内へ配信すると、Yahoo!のビッグデータを連携して広告を運用できます。Yahoo!ユーザーのデータを活用したターゲティングが可能となるのです。
配信される箇所は同じLINEアプリ内だとしても、LINE広告からLINEアプリ内へ配信するだけよりも、Yahoo!ディスプレイ広告から配信するだけで異なる成果が期待できるのです。
②LINEアカウントがなくてもLINE広告を配信できる
LINEアカウントを保有しなくても、Yahoo!広告からLINE広告を配信できます。
現在Yahoo!広告を運用していて、他媒体の広告運用にも取り組みたいと考えたときに、LINE広告は、LINEアカウントを新規作成する必要がなく、すぐに試すことができます。
③配信機会の増加
現在Yahoo!広告のみを運用している広告主は、Yahoo!広告とLINE広告2つの配信面に配信できるようになるだけでも単純に配信機会が増えます。
Yahoo!広告だけでなく、LINEアプリ内にも配信することにより、新規顧客の獲得や認知拡大に繋がります。
④Yahoo!ユーザー以外へのアプローチが可能
LINEとYahoo!ではユーザー層が異なります。つまり、現在Yahoo!広告のみ配信を行っている場合、LINE広告へも配信することによって、LINEユーザーという、今までアプローチできなかったユーザー層へも配信が可能です。
実際にYahoo!広告から配信する場合の設定
それでは、Yahoo!ディスプレイ広告からLINE広告を配信する詳細設定を確認しておきましょう。
配信可能な広告タイプ | レスポンシブ広告のみ |
画像・動画サイズ | アスペクト比:1:1/1.91:1(配信時:LINEの枠に合わせて画像の四隅の角が丸く加工される場合がある) |
プレイスメントターゲティング | プレイスメントリストを作成する |
プレイスメントリストは除外指定もできるため、アプリを除外したい場合にも利用可能です。
プレイスメントリストの例
・iOSの場合:itunes.apple.com/(アプリID)
・Androidの場合:play.google.com/(パッケージ名)
Yahoo!広告からLINE広告を配信する際の注意点
Yahoo!広告からLINE広告を配信する際は、上記のメリットもありますが、注意点もあります。
LINE広告はLINEアプリ内のトークリストや「ニュース」タブに配信されます。Yahoo!ディスプレイ広告から配信を行った場合は、このうちどの画面に配信されるか指定ができません。
また、配信された広告がLINE広告で設定した広告か、Yahoo!ディスプレイ広告から配信された広告かどうかの判断ができない点も留意しておきましょう。
なお、Yahoo!ディスプレイ広告でLINE広告の配信を行う場合、配信に関する審査はYahoo!側で行います。
3.LINE広告側での変更点
続いて、LINE広告での変更点についても確認しておきましょう。LINE広告側は基本的に従来と同様の運用になります。
Yahoo!ディスプレイ広告からはLINE広告へ配信可能ですが、反対に、LINE広告の管理画面からデフォルトでYahoo!広告へ配信されることはありません。
Yahoo提携アプリへの配信
従来のLINE広告の主な配信先は以下の通りです。
・トークリスト(トーク画面の上部)
・ホーム画面
・LINE NEWS
・LINE VOOM
・ウォレット(LINEのお財布、「ウォレット」タブ)
・LINEマンガ
・LINEポイントクラブ
・LINEチラシ
・LINEクーポン
・LINE Monary(おトクな情報や節約・保険・投資など、お金にまつわる幅広いテーマの知識を深めコンテンツを提供するサービス)
・LINEレシート
・LINEオープンチャット
・LINEファミリーアプリ
・LINE公式アカウントのメッセージ内
・LINEマイカード
・LINEショッピング
・LINE広告ネットワーク
この中の「LINE広告ネットワーク」について説明します。
LINE広告からYahoo!広告へデフォルトで配信されることはありませんが、ネットワーク配信をONにすることで一部配信される箇所があります。
一部配信される箇所とは、Yahoo!アカウントを連携することでログイン可能なアプリです。
LINE広告ではLINE広告ネットワークを利用することで、LINE広告の配信場所以外に様々なアプリやメディアに配信が可能となります。
この、「LINE広告の配信先以外のアプリ」にはYahoo!アカウント連携アプリも含まれます。
Yahoo!アカウント連携アプリとは、Yahoo! ID連携を導入したウェブサイトやアプリケーションへユーザー認証情報を提供することでログインが可能になる仕組みを導入しているアプリのことです。
つまり、Yahoo!アカウント連携アプリのみの配信先にはなりますが、LINE広告ネットワークにより、Yahoo!広告の配信へ配信を行うことができるということです。
配信可能なアプリは11,000種類以上、電子書籍やゲーム、SNS、ニュース、天気、金融、健康などバラエティも豊富です。
さらに、LINE広告のターゲティング機能を使い、LINE広告の配信先以外のアプリにキャンペーンを配信できます。例えばウェザーニュース、デリッシュキッチンなど、アプリを利用するユーザー属性に合わせた広告の配信が可能となります。
Yahoo提携アプリへの配信メリット
Yahoo!アカウント連携アプリはログインにYahoo!ユーザーの情報を必要とします。
つまり、LINE広告の情報とYahoo!の情報を連携してユーザー情報を管理することができ、ターゲティング精度の向上に貢献します。
4.統合後の各媒体活用方法
Yahoo!広告側、LINE広告側それぞれの統合後の変更点を確認したところで、続いて、統合後の各媒体活用方法をご紹介します。
YahooとLINEではユーザー層が異なるため、それぞれの媒体のユーザー層の違いを活かして広告配信を行うと効果的です。それでは、Yahoo!、LINEそれぞれのユーザー層の特徴と、各媒体の活用方法を見てみましょう。
Yahoo! | LINE | |
性別 | 男性:52%女性:48% | 男性:47%女性:53% |
年齢層 | 13〜19歳:6%20〜29歳:12%30〜39歳:16%40〜49歳:20%50〜64歳:26%65歳〜:20% | 13〜19歳:8%20〜29歳:15%30〜39歳:17%40〜49歳:23%50〜64歳:29%65歳〜:9% |
月間アクティブユーザー | 約8,400万人 | 約9,500万人 |
関連サービス | ニュースやオークション、天気情報アスクルや宿泊・レストラン予約の一休、ファッション通販を行うZOZOやPayPay | LINEニュースやLINEマンガ・LINEショッピング |
統合後のYahoo!広告の活用方法
Yahoo!ユーザーの特徴として、40〜65歳のユーザーが多いことが挙げられます。さらに40歳以上のユーザーは全体の60%以上を占めています。若者向けよりも高齢層に向けた商材と相性が良いでしょう。
また、ニュースや天気情報など、日常的に情報を収集するために利用するユーザーが多いため、効果的に広告が目に止まりやすくなると考えられます。
さらに、Yahoo!はZOZOや一休といったサービスを買収しているため、たとえばZOZOユーザーにファッション商材の訴求、一休ユーザーにレストラン店舗の訴求といった戦略を取ることができます。
一方、アクティブユーザー層以外の40代以下への影響力は大きくないため、ターゲットを広げたい場合はLINE広告へも配信を行うとよいでしょう。
従来Yahoo!広告は若年層へのアプローチは苦手でしたが、Yahoo!ディスプレイ公告からLINE公告へ配信できるようになったことにより、若年層へのアプローチも行えるようになりました。
現在Yahoo!公告のみ運用している方は、ターゲット層によりLINE公告への配信も視野に入れながら、うまく活用していきましょう。
統合後のLINE広告の活用方法
LINEユーザーの特徴として、Yahoo!と比べると若者の割合が若干多く、性別で比較すると女性のほうが利用者が多いという特徴が挙げられます。
若年層がやや多いものの、全体的に10代〜60歳以上まで幅広い年代のユーザーが利用しています。居住地の偏りもなく、国内で全体的に広く利用されているため、年齢や地域でみても様々な商材を広くリーチできそうです。
職業でいうと会社員が特に多いため、BtoB商材も相性が良いでしょう。
さらに、LINEマンガやショッピングといったサービスにも配信可能のため、特定のマンガに興味のあるユーザーや特定の商品をネットショッピングしているユーザーといった、狙いを絞り込んで配信を行う戦略も取れます。
LINEユーザー自体の層が幅広いため、LINE公告は広い範囲を網羅的に広告配信を行うことができます。加えて、Yahoo!との合併によりYahoo!ユーザー情報も活用できるようになったため、Yahoo!提携アプリ面への配信も視野に入れるとよいでしょう。
5.LINEとYahooの統合による広告配信
LINEとYahoo!の統合による広告配信面でのポイントを解説しました。LINEとYahoo!それぞれのユーザー情報を一括で管理できるようになったことにより、ターゲティングの精度向上や、広告分析・PDCAを回すのに効果的になりました。
なお、2023年11月13日にYahoo!広告とLINE広告の広告掲載基準も統合されました。クリエイティブを各媒体ごとに用意する必要がなくなったため、併用して運用を行う管理コストが削減できます。
現在Yahoo!広告のみを運用している場合、あるいはLINE広告のみを運用している場合でも、連携により各広告のみを運用しているだけでは届かなかったユーザー層にリーチできる可能性も高まります。統合により生まれたメリットを広告配信に活かしていきましょう。
参照:
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/01331/