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松山

Webアクセス分析

GA4の基本思想、ユニバーサルアナリティクスとの違い

2022年3月16日ユニバーサルアナリティクスの終了がアナウンスされ、多くの方が右往左往されていることかと思います。今回のユニバーサルアナリティクス終了に対しては批判的な声も多いのが現状です。

現実的に考えても、いまやサイト分析における基盤でありインフラ的な役割となったユニバーサルアナリティクスをわずか1年半前のアナウンスで終了するのは不親切さは否めません。

また、更新版のGA4が既存のユニバーサルアナリティクスをベースとして延長線上に位置するツールであれば移行もスムーズですが、そもそもこの2つのツールは基本思想が異なるため全く別のツールだと考えなければなりません。

前置きが長くなりましたが、上記のとおりGA4は様々な課題を抱えるものの、結論としては、我々アナリストやサイト運営者は、Googleの意向に従うほか選択肢はありません。

今回の記事では、GA4の実運用面の使い方は省き、GA4の基本思想(ユニバーサルアナリティクスとの違い)や、導入の前段階での注意点についてご説明します。

ユニバーサルアナリティクス→GA4の移行スケジュール

まずは移行スケジュールですが、現時点で分かっている情報は以下2点です。
●23年7月1日以降はユニバーサルアナリティクスでの【計測】が不可
●24年1月1日以降のどこかのタイミングでユニバーサルアナリティクスの【閲覧】が不可

上記を踏まえると、前年同月比のデータを取得したい場合は「22年6月末」までにGA4の設定を済ませておく必要があります。

各ツールの基本思想は?

ツールには、「どういった目的で作られているのか」「どういった利用を想定しているのか」といった思想をもとに設計されています。ツールを理解するためには細かな設定以前に基本思想を理解することが近道です。

「ユニバーサルアナリティクス」の基本思想

ユニバーサルアナリティクスは、「PV(ページビュー)ありきの評価指標」です。ページビューの発生を軸として、直帰率や滞在時間、離脱率といった「Webサイトに流入したユーザーが流入後、どの程度サイトを閲覧したか?」を評価する仕組みになっています。

強みとしては、Webサイトをページ単位で評価することに長けていて、LPや商品ページごと、さらには参照元×LPといった単位で良い悪いの傾向をつかみやすい点があります。

一方で弱みは、あくまでもページ単位での評価に過ぎないため、「ページ内でどのような行動を取っていたのか?」の評価が難しい点です。
例えば、1枚LP(特定のアクションを狙った出口が1箇所しかないページ)では、購入などのアクションにつながらないPVはすべて同じ価値として判断されてしまいます。
実際には、「ファーストビューだけを見て離脱した人」「購入直前まで悩んだ末、購入をやめた人」というように様々なPVの価値があるにも関わらず、すべて「離脱ユーザー」として集計され、実際と異なる評価になってしまいます。

「GA4」の基本思想

GA4は、「イベント発生をもとにした評価指標」です。GA4側にデフォルトで用意された自動収集イベントを中心に、追加でカスタマイズイベントを追加設定することも可能です。

特に特徴的なのは、「エンゲージメント」という指標が新たに登場した点です。

GA4における「エンゲージメント」の定義は以下のいずれかの条件を満たすセッションとなっています。

●10秒を超えて継続したセッション
●1セッション内で2個以上のイベントの発生
●CVに設定したイベントの発生

「エンゲージメント」の指標により、先述したような「アクションの手前まで到達したユーザー」を数値的に評価できるようになります。

例えば「ファーストビューだけを見て離脱したユーザー」ではエンゲージメントの発生がなく、「ページ全体を見て悩んだ末、離脱したユーザー」はCV発生こそないものの、エンゲージメントに計上されるため、どの流入元がエンゲージメントの発生率が高いか?によって施策の有効性を確認できます。

GA4導入のうえでの注意点

GA4は既存のユニバーサルアナリティクスと比較すると、ツールの自由度が上がっており、それに伴い設定の専門性や難易度も上がっています。以上の点を踏まえた注意点をご紹介します。

本当にGA4を導入すべきか、再検討する

これまでのユニバーサルアナリティクスはデータの民主化と言われるように、誰もが簡単にサイト分析を可能にするツールでしたが、今回のGA4は少なからず正規表現やパラメーターの理解が必要となり、誰もが使えるツールではなくなりました。

無思考で「これまでユニバーサルアナリティクスを使っていたから、GA4を導入すればよい」という考え方では、必要のないコスト(費用や工数コスト)を支払い続けることになります。

GA4の難易度が上がったため、ユニバーサルアナリティクスに代替するような簡易計測ツールも登場しています。

例えば、「QA アナリティクス」などワードプレスのプラグインとして使えるものも中にはあります。改めて「本当にGA4が必要なのか?」を再検討しましょう。

指標や項目名の定義を正確に理解する

GA4では、ユニバーサルアナリティクスでは使われていなかった新しい指標・項目が多く追加されました。

一例を挙げると、先述した「エンゲージメント」は、SNS広告でも使用される指標ですが、GA4では定義が異なります。

Twitterにおけるエンゲージメントは、「投稿に対する何らかの反応」を指しており、具体的には「リプライ、リツイート、いいね、投稿のタップ数の合計」です。

一方で、GA4におけるエンゲージメントは、「10秒以上の滞在や、2個以上のイベント、CVイベントが発生したセッション数」です。

このように利用シーンによって、指標の定義が全く異なるため、まずは指標や項目名を正確に理解することを意識しましょう。

GA4を使って何を計測するのか、目的を明確にする

1つ目の注意点でも挙げたとおり、GA4は非常に自由度が高い計測ツールです。

とくにWebツールにおける「自由度が高い」は諸刃の剣で、「スキルを持つ人にとっては何でもできるが、スキルを持たない人にとっては何もできない」ことを意味します。

GA4はツールの自由度が高いため、予め計測や分析の目的を明確にもっていなければ、ご自身で設定する際はもちろん、外部の業者に依頼する場合でもうまくコミュニケーションが取れません。

どの方法でGA4を導入するにしても、「●●のためにGA4を導入する」と一言で表せる状態にしておく必要があります。

まとめ

急遽Googleからアナウンスされたユニバーサルアナリティクスの終了、そしてGA4への移行ですが、我々にできることは彼らの提供するサービスを使いこなすか、ほかを当たるかしかありません。

また、ユニバーサルアナリティクス終了のタイミングから悪質な営業会社やツール会社が急増しているのも事実としてありますので、ご注意ください。