デマンドジェネレーションキャンペーンとは?ファインド広告との違いや移行方法を解説
Google広告を運用している方の中には「デマンドジェネレーションキャンペーン」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
デマンドジェネレーションキャンペーンは広告ツール(ブランド効果測定や検索数の増加などの測定ツール)とAIを活用し、コンバージョンが見込まれるユーザーへ訴求、ターゲットを変更、効率的な入札を自動的に行います。
これまで気づかなかった新しい顧客の獲得が見込まれるため、今後期待されるキャンペーンです。
今回はデマンドジェネレーションキャンペーンの概要と設定方法、今後どのように活用されるかについて解説します。
1.デマンドジェネレーションキャンペーンとは
デマンドジェネレーションキャンペーンは2023年10月から利用可能となったGoogle広告の新しい広告配信方法です。これまでのファインド広告に機能が加わりアップグレードされます。
YouTubeやYouTubeショート、Discover、Gmailに配信され、画像や動画を用いて視覚的訴求が可能です。
ユーザーが求める情報と関連性の高い広告を配信し、効果的な広告配信が可能となります。新規顧客との繋がり獲得、コンバージョンの促進どちらの効果も期待されます。
デマンドジェネレーションキャンペーンが適している場合
・コンバージョンを今よりも伸ばしたい
・新規顧客にリーチしたい
・リマーケティングや再コンバージョンを狙いたい
2.Googleファインド広告とは?ディスプレイ広告との違い
Googleファインド広告は1枚の画像と広告文の形式で配信されます。主にYouTubeやGoogle Discover、Gmailに配信され、1つのキャンペーンで最適なユーザーに幅広いアプローチが可能となります。
Google DiscoverとはGoogleアプリに入っている機能で、ユーザーの検索履歴や位置情報等のデータを参考に、興味関心があるコンテンツを自動表示させる機能のことです。
ファインド広告はユーザーの多い媒体に配信されるので、認知拡大やリマーケティングに有効です。配信場所の特性から、BtoC商材と相性が良いです。
ユーザーがYouTubeで視聴した動画やアクセスしたWebサイト、検索キーワード等の過去の情報をもとに、その情報に関連性の高い広告を配信します。
Cookie規制の影響を受けないのも利点です。YouTubeやGoogle Discover、GmailはGoogleのサービスのため、Google独自のデータを活用できます。視聴履歴やログイン情報等のデータをもとに、コンバージョンが見込まれるユーザーを対象にカスタマイズして配信されます。
(1.)ディスプレイ広告との違い
Googleファインド広告はディスプレイ広告と同じく画像とテキストで構成されます。ディスプレイ広告との違いは主に配信場所やターゲティング方法、設定可能なクリエイティブの種類です。
ファインド広告 | ディスプレイ広告 | |
配信場所 | Googleサービス内 | Googleサービス内サービス外のWebサイトやアプリ |
ターゲティング | ユーザー | ユーザー配信面(プレースメント、キーワード) |
クリエイティブ | 画像1枚カルーセル画像 | 画像のみ |
配信場所やターゲティングはファインド広告よりも狭いですが、カルーセル画像を設定できるのが大きく異なる特徴です。複数枚の画像を横にスライドして表示させることができます。カルーセル内外にはそれぞれ見出しとURLの設定が可能です。カルーセル画像を上手く活用するのがファインド広告運用のポイントになります。
また、ディスプレイ広告のGoogleサービス外のWebサイトやアプリにも配信できる点はメリットではありますが、配信場所が広いと広告が不自然に表示されることも。
ファインド広告ではページに溶け込む形で配信されるため、ディスプレイ広告よりも自然な形で配信されます。広告感がなく、ユーザーが安心してクリックしやすいです。
(1.)ファインド広告の注意点
・配信枠を限定できない:
広告が配信されるYouTube、Google Discover、Gmailのうち、特定の場所のみに配信することはできません。たとえばYouTubeだけに配信したいといった対応は不可能です。
・手動設定できない項目が多い:
機械学習で自動的に広告配信を最適化するため、個別に手動で設定できない項目が多いです。入札戦略や入札単価、予算単価、配信方法、モバイルやコンテンツなど。
・CPAやCPC高騰のおそれがある:
幅広いユーザーを対象に配信するため、コンバージョンが見込めないユーザーにも配信され、コンバージョン単価やクリック単価が高くなってしまう可能性があります。なお、コンバージョン目的ではなく認知拡大目的なら効果的となります。
・クリエイティブを用意する:
1つのキャンペーンでYouTube、Google Discove、Gmailすべてに配信され、個別に配信場所を指定できないため、どの場所に配信されても有効な、汎用性の高いクリエイティブを用意する必要があります。YouTube、Google Discove、Gmailはユーザー層も異なるため、全てのユーザーに訴求する画像と広告文の用意が必要となります。
3.Googleファインド広告との違い
デマンドジェネレーションキャンペーンとファインド広告の違いを解説します。ファインド広告の元々の利点に加えて、機能が追加されます。
ファインド広告 | デマンドジェネレーションキャンペーンで追加される項目 | |
配信場所 | YouTubeホーム、次の動画、検索結果Google DiscoverGmail | YouTubeショート、インストリーム |
クリエイティブ | 画像フィード | 動画 |
入札の最適化指標 | コンバージョン数コンバージョン値 | クリック数 |
レポート・測定 | 通常レポートアセットレポートコンバージョン経路レポートユニークリーチコンバージョンリフトデータドリブンアトリビュージョン | ブランドリフトサーチリフト |
オーディエンス | Googleオーディエンス最適化されたターゲティング | 類似セグメント |
(1.)配信場所
YouTubeショートとインストリームにも配信できるようになります。YouTubeインストリームは動画の最初や最後、途中で再生される動画広告のことです。
(2.)クリエイティブ
ファインド広告で設定できるのは画像だけでしたが動画も可能になります。つまり画像1枚、カルーセル画像、動画の3パターンの設定が可能です。
特にYouTubeの広告枠に動画を配信可能になったことで、より自然な形で広告配信が可能となります。
さらにファインド広告ではなかった機能として、プレビュー機能で配信前に表示確認と、ABテストでクリエイティブ検証が可能になります。
(3.)入札の最適化指標
自動入札戦略に、クリックを最適化対象とする項目が追加されます。上限クリック単価を設定すると、指定した範囲内でクリック数が最大化される入札単価を自動で調整します。
(4.)レポート・測定
もともとのファインド広告のレポートにプラスして、ブランドリフトとサーチリフトが追加されます。
ブランドリフトは広告によって自社がどれくらいブランディングできたかの指標になります。ユーザーにアンケートを取り、ブランド認知や好感度、購買意欲がどの程度か、を測定します。アンケート調査ではYouTube動画に表示されるインバナーサーベイと、専用ページでアンケートを受け付けるリードバナーアンケートの方法があります。
サーチリフトは広告に接触したユーザーがその後どれくらい自社商品やサービスにかんれうするキーワードで検索をしたかを測定する指標です。オーガニック検索データを元に測定します。
(5.)オーディエンス
類似セグメントという新たなオーディエンス作成機能が加わります。Googleのファーストパーティーデータを利用して、類似ユーザーにアプローチします。類似度は2.5%、5%、10%の3パターンから選べ、どの程度拡大したいか、予算や目的に合わせて設定可能です。
4.デマンドジェネレーションキャンペーンへの移行方法
2023年11月からファインド広告→デマンドジェネレーションキャンペーンへ自動的にアップグレードが開始されます。現在ファインド広告を運用していれば、基本的には広告主の操作は必要なく、順次自動的にアップグレードされます。
なおアップグレードされるとファインド広告の学習データをはじめとする過去のデータは全て引き継がれます。つまり新規キャンペーン配信時とは異なり、機械学習の学習期間や広告効果確認までデータの蓄積をする時間を必要としません。
切り替えまでに必要な操作はありませんが、スムーズにデマンドジェネレーションキャンペーンを運用できるよう、動画クリエイティブ等を予め用意しておくとよいでしょう。
アップグレードスケジュール
2023年10月 Googleのアカウントチームに連絡することでアップグレード可能
2023年11月から 自動的にアップグレード
2023年12月までに自動的にアップグレードされる
2024年1月から3月 全てのファインド広告が自動的にアップグレードされる
5.アップデートの背景や今後起こると思われること
YouTube全体、特にYouTubeショートの影響が近年拡大されていることもあり、YouTubeショートへの広告掲載強化が今後の鍵となります。
YouTubeの利用者が増加している背景によって、動画クリエイティブの重要性は高まっています。特に短尺動画や縦長動画クリエイティブの需要が高まることが考えられます。
自動入札戦略でクリック最適化が設定できるようになることで、広告費用を検討するハードルが下がります。アップグレードスケジュールにより、広告運用がしやすくなり配信の幅が広がります。
6.まとめ
デマンドジェネレーションキャンペーンは自動入札戦略でクリック数最大化を設定できるようになることにより、コンバージョン目的だけでない配信が可能となります。認知拡大と新規顧客の獲得に有効です。
さらに動画クリエイティブの設定が可能となったこと、YouTubeショートへの配信が可能となったことにより、視覚的訴求でユーザー行動を喚起します。
YouTubeは動画サービスの中でも利用者が多いため、動画広告の配信によりこれまでよりも多くのユーザーにリーチが可能です。YouTubeの影響は今後ますます拡大していくことが考えられるため、今のうちからアプローチしておくとよいでしょう。
参照:
https://support.google.com/google-ads/answer/13695777?hl=ja
https://support.google.com/google-ads/answer/13695389?hl=ja