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松山

年度末(3月末)は、なぜWeb広告配信が不安定/高単価になるのか?

年度末は、Web広告運用の担当者にとって案件が増えやすく、各媒体挙動が不安定になるため、対応に追われやすい時期です。

今回は、年度末にWeb広告配信が不安定・高単価になりやすい背景についてご説明します。

年度末に広告出稿が集中する仕組み

まず根本的な原因は、各企業の予算方式にあります。多くの企業は年度単位で部の予算を会社に申請し、承認が下りた予算の中でやり繰りをすることになります。

この予算方式の是非は置いておきますが、上記の仕組みになっている以上、次年度予算の確保のために「予算を余らせるわけにはいかない」というニーズが生まれます。

上記の背景がある年度末案件は、主に以下の特徴があります。

・急に案件が発生する(残予算発覚のタイミングが直前になりやすい)
・提案~受注決定までがスムーズ(使うべき予算がすでに決まっているため)
・3月末で予算を使い切らなければならない(予算未消化は許されない)
・目標やKPI達成に対して緩い(予算消化が第一優先であり、成果は二の次)

世の中には3月末決算の企業が多いため、上記の特徴を持つ案件が3月~3月末にかけて集中的に投下されるという仕組みです。

年度末(3月末)の広告配信で注意すべきポイント

上記の特徴を持った案件が急増する時期なので、広告配信中の案件にも当然影響が出てきます。注意すべきポイントについて3つにまとめました。

継続案件では単価上昇に注意

年間を通して広告配信を実施している継続案件では、いつも通り配信しているつもりでも、「3月に入って急にCPMが上昇している….」ということが起こります。単純にプレイヤーが急増しているということが原因ですが、とくに参入しているプレイヤーが「成果をほとんど気にせず高単価で入札している」ということも原因の一つです。

前述のとおり、年度末のスポットで配信する広告主は、成績よりも予算消化を優先するため、非常に高単価で入札します。結果的に類似した商材・ジャンルに対して広告配信を行っている継続案件も相対的に単価が高騰する形となります。

対策としては、
・事前にクライアントに対して説明を行う
・可能であれば、普段よりもセグメントを広げるなど事前対策を行う
・ご報告時に前月比ではなく前年同月比で考察する
といったことが挙げられます。

具体例としては、
2月の段階で「3月は単価が高騰しやすいので、事前に2月に予算の30%を割当てておくと成績の悪化を抑えられますがいかがでしょうか?」といったような先回りした動きができれば、クライアントに対して安心感を持ってもらうことができます。

3月下旬の配信ショートに注意

3月下旬は、特に予算消化の広告主参入が増加するため、場合によっては「これまで日予算どおりに配信できていたのに急に日予算未達になった….」ということもあります。

3月上旬に発注が入り、中旬から配信スタートというケースも多く、下旬に近づくに従って、その傾向は強まります。

さらに問題なのは、月末最終日、最終日前日です。
とくにこの2日間は、予算がショートしていた広告主(広告運用担当者)がなんとか予算を使い切るために入札を急激に引き上げたり、日予算を急増させるなど、オークションの競争度がさらに高まります。

対策としては、
広告配信の終了日を月末最終日ではなく、「3月25日」などある程度バッファーを見たタイミングで設定を行い、「もし3月25日までの配信で予算が余った場合には、月末までで残額を使い切る」という形をとるのがベターです。

急な審査落ちに備えて予備施策を用意しておく

Web広告では、一度審査を通過したからといって、永続的に配信が可能ではありません。各広告媒体では、システムによる審査と、目視(スタッフ)による審査を行っており、定期的な巡回で急に審査落ちになるケースもあります。

上記は年度末に限った話ではありませんが、通常の時期であれば余った予算を次月に回すことができても、年度末においては予算の移動ができません。

そのため審査落ちリスクが高い案件ジャンルでは、プランB、プランCも用意し並行して走らせておきましょう。

例:
Aプラン:Googleディスプレイ広告
  ↓ 審査落ち
Bプラン:Yahooディスプレイ広告
  ↓ 審査落ち
Cプラン:リスティング広告

3月末案件は予算を使い切ることが第一目的

もちろん、Web広告の本来の価値は「予算を使い切ることではなく、成果を上げること」というのは言うまでもありませんが、あくまでも広告主のために動くのが運用者の役割です。

物事の是非よりも、掟・ルールが重要な場合は、そのルールに従って対応をするということが我々運用会社には求められることだと思います。