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松山

Web広告の提案でよく使われる「認知→刈り取り」は正しいのか?

Web広告の提案資料で良く見かける「認知→刈り取り」の流れですが、実際にこの流れでユーザーはコンバージョンしているのでしょうか?
いまや普遍的に使われるようになった消費行動プロセスについて改めて考えてみます。

「認知→刈り取り」の由来

そもそも、「認知→刈り取り」の由来はどこなのでしょうか。おそらく「AIDMA」が元になっていると考えられます。

Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)

最近では、SNSを絡めた施策も増えたため、「AISAS」とも言われています。
※AISASは株式会社電通の登録商標。

Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(情報共有)

どちらも、まずは商品を認知し、欲求や関心を引き出し、様々な行動を経て、購買行動に至るという流れになっています。
もちろん、論理的には間違いではないのですが、果たして実際にそのような結果になっているでしょうか。

本当の認知獲得には莫大な投資が必要

ある商品を例に認知獲得のシミュレーションをしてみます。

商品:女性用化粧品
広告媒体:YouTube(スキップ可能なインストリーム広告)
ターゲット:20代女性/国内
期間:1ヶ月
目的:商品の認知獲得(IMP重視)
広告予算:100万円

上記の条件でYouTube広告管理画面でシミュレーションした結果が以下の画像です。

「20代女性」で化粧品への興味関心のあるユーザー(インプレッション在庫)は約19億に対して、予算100万円でリーチできるのは80万~210万。比率にして、0.04%~0.1%に過ぎません。

YouTube広告では一部の広告主にブランドリフト調査の機能が開放されていますが、態度変容を起こすような認知獲得を行うためには数千万円~数億円の規模でなければ、実際の認知度や広告想起率に変化を起こすことは困難であるといえます。

認知をばらまき広告にしないためには?

それでは認知プロモーションを行うためには毎月数千万円規模の広告費を払わなければならないのでしょうか?必ずしもそうとは限りません。

以下の工夫により、数十万の広告費でも効果的なプロモーションを実現できます。

Google Analyticsを活用して流入ユーザーの閲覧状況を確認する

Google Analyticsでは、広告をクリックしたユーザー単位で、サイト内での行動履歴やその後の再訪状況を確認できます。

例えば、通販サイトのプロモーションをGDN広告(Googleのディスプレイ広告)で実施した場合、媒体の管理画面だけではクリックしたユーザーがその後サイト内でどのような行動をとったのか?を確認することができません。

広告管理画面だけではブラックボックス化されていたコンバージョンまでの背景を確認することができます。例えば、以下の情報を確認できます。

・実は「支払い情報ページ」にアクセスしてから購入していた(→LPに支払い情報を詳しく記載すれば、離脱が減る可能性あり)
・広告を配信していたが、ほとんど他のページを見ておらず、単に流入していただけで終わっていた。
・カートに追加までは100人到達していたが、カートで90人が離脱していた。
など

広告運用やサイトの改善に役立つ情報を細かく確認することができます。
また、一度広告をクリックしてサイトに流入したユーザーがその後再訪しているか?も確認できるので、「認知施策による再訪問があったか?」の評価も可能です。

マイクロコンバージョンの設置

マイクロコンバージョンはネガティブな意見を持たれることが多いですが、使い方によってはデータ収集や運用改善に役立つこともあります。

例えば通販サイトの認知施策の場合、いきなり購入獲得を狙うと「購入した」OR「購入しなかった」の2択となってしまい、「購入した」母数が少ない場合、広告の評価ができなくなってしまいます。

このケースでは、以下のようなマイクロコンバージョンを設置することで、「購入しなかった」ユーザーの中でも評価を細分化でき、媒体ごと・クリエイティブごとなどの広告評価が可能になります。

▼マイクロコンバージョン設置の例
・会員登録
・メルマガ登録
・カート追加
・お気に入り/ブックマーク追加
・サイト内の閲覧商品5つ以上
など

認知施策(GDN、YDA、Twitter広告、YouTube広告など)の場合はいきなり初見のサイト商品購入を獲得するのはハードルが高いため、ハードルが低いイベント発生で広告配信の評価をすれば、結果の良し悪しの判断軸になります。

まとめ

「認知→刈り取り」の提案は弊社でもよく行いますが、「認知」の効果をどのように判断するのか?というところまでは議論にならないことも多いです。
今回記載した内容はほんの一部に過ぎませんが、実施した認知施策の効果を明確に数値で評価することがWeb広告を配信するうえで重要だと思います。