ROASで広告の成果を測る方法と改善方法

「Web広告を出しているけど効果はどのくらいあるの?」
「広告の効果を数値として見たい!」
上記のような悩みを抱えている方は、「ROAS」を導き出すことで解決されるでしょう。
そこでこの記事では、ROASで広告の効果を測る方法やメリット・デメリット、ROASの改善方法について解説していきます。
1. 「ROAS」とは?
ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告の費用対効果を表す数値であり、売上から導き出すことができ、広告費用の回収率が数値となって現れます。
ROASを算出する計算式は以下のとおりです。
【ROAS=広告経由の売上÷広告費×100(%)】
例えば、1ヶ月の広告費80万円に対し、売上が120万円だった場合には以下のような計算になります。
【120万円÷80万円×100=150%】
上記の場合、広告費用に対し150%の売上を得ることができたという結果です。
ROASの数値が高いほど広告効果が大きく、正しく運用されていると受け取ることができます。
ROASを使って入札単価を出す方法
また、ROASは以下のように広告の入札単価を計算する際にも使えます。
1.コンバージョン率を設定
2.目標のROASを設定
3.計算式に当てはめて入札単価を計算する
今回は、コンバージョン率を1%・目標ROASを200%で以下の計算式に当てはめます。
【入札単価=売上単価×コンバージョン率÷目標ROAS(円)】
【1万円×1%÷200%=50円】
適切な入札単価は50円と算出されました。
入札単価を算出することで、広告費用の増額や削減といった施策が行えるでしょう。
2. 「ROAS」を活用するメリットとデメリット
ROASを指標とすることで得られるメリットとデメリットを以下でご紹介します。
(1).各媒体での戦略を立てられる
運用している媒体がFacebookやInstagramなど、複数ある場合には広告効果があるか否かをひと目で比較できます。
ROASの数値から、クリエイティブの改善を行うのか、今後は撤退するのかなどの戦略を立てられるでしょう。
また、広告施策の最適化など、CPAだけでは測れないパフォーマンスの有無についても目を向けられます。
さらに、ROASを算出する上で重要な「売上」は、過去の数値や未来の予測を立てるのが容易な数値であるため、費用対効果を迅速に把握でき、新たな施策へとスピーディーに動けるといったメリットもあります。
(2).ROASの数値だけでは利益が不透明
ROASの数値は「売上」からデータを見るため、利益が出ているかどうかは、ほかの数値を比較する必要があります。
ただし、ROASの数値が100%を上回っていても必ずしも利益となっているわけではなく、売上原価を差し引いてみると、利益は下回っていることもあるでしょう。
あくまでも、売上に貢献しているか否かの数値であり、利益を基準とするROIと組み合わせて見る必要があります。
損益分岐点となるROASの数値の出し方は、以下のとおりです。
【損益分岐点ROAS=平均顧客単価÷(平均顧客単価-平均原価)×100(%)】
1つの売上が2万円で原価8千円であれば、以下のように約167%になるため、ROASが100%を上回っていても167%以下で赤字になってしまいます。
【2万円÷(2万円-8千円)×100=166.6%】
3. 「CPA」「ROI」との違い
ROASと類似する2つの指標として「CPA」「ROI」があるため、以下で違いについて解説します。
(1).CPAとの違い
CPA(Cost Per Acquisition)は、コンバージョンを1件取るために必要な費用のことを指します。
計算式は以下のとおりです。
【CPA=広告費用÷CV数(件)】
例えば、広告費が60万円・コンバージョンが30件の場合は以下の計算になり、1件のコンバージョンに3万円を要したことになります。
【60万円÷20件=3万円】
CPAが低いほど、1件のコンバージョンに必要な広告費用が低くなるため、数値が小さいほうが広告効果が得られていると評価されます。
複数の媒体で広告を出している場合には、CPAの変化を比べながら戦略を立てることも可能です。
(2).ROIとの違い
ROI(Return On Investment)も、ROAS同様に広告の費用対効果を表す数値ですが、ROIの場合には、広告費に対して得られた利益を導き出します。
計算式は以下のとおりです。
【ROI=利益額÷広告費×100(%)】
例えば、1ヶ月の利益が50万円・広告費が20万だった場合には以下のような計算になります。
【50万円÷20万円×100=250%】
上記の場合は、広告費用に対し250%の利益を得ることができたという結果です。
ROASとの大きな違いは、利益額を基準にして数値を出す点。
ROASのデメリットを補う指数ではありますが、ROIはその時点での利益から算出されるため、長期的な戦略を立てる際には不向きと言えるでしょう。
4. 「ROAS」改善のポイント
ROASの改善には、大きく分けて2つの手段があり、「売上の向上」と「広告費用の削減」です。
以下のようなポイントをおさえることで、ROASを改善できるでしょう。
・CVRの向上
・購入単価の向上
・顧客ロイヤリティを高める
・広告媒体を絞る
・ツールを駆使する
(1).CVRの向上
広告のアクセスのうち、何%がコンバージョン(最終的な成果)に至ったか分かる数値のCVRが上がることで、売上が伸びるため、ROASの数値も改善されるでしょう。
CVRの向上にはLPや入力フォームの改善や、そもそものページの読み込み速度の改善などによって期待できます。
(2).購入単価の向上
売上の数値を基準とするROASでは、顧客の購入金額が上がることで改善できます。
しかし、単純に商品の金額を上げるだけでは離脱する顧客も増えてしまうため、別の方法で客単価を上げる必要があるでしょう。
関連商品の提示やまとめ買いの促進、付加価値を加えたサービスの展開などが有効です。
(3).顧客ロイヤリティを高める
顧客のデータを管理し、分析することで顧客の要望を叶え、商品やサービス、ブランドに対する満足度を上げる効果が期待できます。
顧客ロイヤリティを高めることでリピート購入が見込め、売上が上がることで結果的にROASが改善されるでしょう。
購入後のバックアップや、顧客が欲しいと感じる情報の発信など地道なケアが必要です。
(4).広告媒体を絞る
さまざまな媒体で広告を出している場合は、パフォーマンスの高い広告に絞ることでROASの改善が見込めます。
また、同時に広告費の掲載時間や場所などを絞ることで、広告費の削減も可能です。
(5).ツールを駆使する
Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールなどを駆使することで、数値の変化を可視化し、顧客の満足度の向上へ改善することで、ROASの向上が期待できます。
Googleアナリティクスのほかにも、Webページの一部分のみを変更して効果を検証する「A/Bテストツール」、顧客の情報を管理する「CRMツール(顧客関係管理)」なども効果的でしょう。
まとめ
ROASは売上を基準とした、広告の費用対効果を表す数値です。
広告費用に対し、どのくらい売上に効果があるのかが導き出せるため、幅広く出していた広告媒体を絞る際にも指標となるでしょう。
しかし、利益が分からないのがデメリットであるため、損益分岐点ROASを算出し、最低ラインを知っておくことが大切です。
CPAやROIとともに理解し、必要に応じて使い分け、正しい戦略を立てることで利益と繋がっていくでしょう。