コンテンツに溶け込んでPRできる「ネイティブアド」とは
私たちが日頃何気なく見ているコンテンツサイトやSNS、アプリなどの中に「ネイティブアド(ネイティブ広告)」は点在しています。広告のデザインやフォーマットを掲載媒体のコンテンツに馴染むように編集することで、ユーザーに与えるストレスを抑えて表示する広告手法の1つです。ここでは、ネイティブアドの概要や注意点、広告フォーマットの種類、ネイティブアドを提供している主要媒体などをご紹介していきます。
1.ネイティブアド(ネイティブ広告)とは?
「ネイティブアド」とは、ウェブサイトやSNSのコンテンツの中に溶け込んでいる広告のことです。ニュースサイトにはニュース記事のように、SNSにはタイムラインの投稿コンテンツのように表示されるので、ユーザーに広告であることを強く意識させずにPRできます。
一般的に認知されているバナー広告などの「ディスプレイ広告」は、コンテンツの途中で明らかに「広告枠」の形で表示されるので、ユーザーにコンテンツの閲覧を妨げられていると感じさせ、せっかく広告を打ってもマイナスの印象を与えてしまうことがありました。こうした背景の中、ユーザーに違和感や不信感を与えずに宣伝効果を狙う広告手法としてネイティブアドが誕生しました。
ニュースサイトの記事と同じように表示される「記事広告」や、検索エンジンでキーワードを検索した際に表示される「リスティング広告」、フォローしているアカウントの投稿の間に表示される「SNS広告」などが代表的です。意外と思われるかもしれませんが、企業がオリジナルで提供しているLINEのスタンプなどもディスプレイアドに分類されます。
(1)広告主としてネイティブアドで注意すること
ネイティブアドは、ユーザーの閲覧体験を妨げないからといってどんな内容でも好意的に捉えられるとは限りません。広告主として、ネイティブアドをマイナスに働かせないために抑えるべきポイントを挙げます。
注意1.「広告」であることを表示する
ネイティブアドの広告ルールとして、広告であることがわかる表示を掲載しましょう。「広告」「PR」「プロモーション」「AD」の文字を表記することで、ユーザーはあくまで広告と知ってネイティブアドに接することができます。 このルールを無視すると、いわゆる「ステマ(ステルスマーケティング)」というやらせ行為と誤解され、社会的にも厳しい目を向けられてしまいます。表示ルールの遵守はネイティブアドの広告主として最低限守らなければならないポイントです。
注意2.ユーザー視点のコンテンツの質
興味を持って読んでいる記事やフォローアカウントの投稿と並んで表示されるネイティブアドは、それらのコンテンツと同様に読んで良かったと思われる情報を求められます。ところが、クリックしたリンク先にあからさまな押し付けセールスのページが表示されると、ユーザーは騙された感覚に陥るでしょう。ページの離脱やブランドイメージの低下まで引き起こしかねません。 ターゲットユーザーの心をつかむ質の良い内容を提供できれば、そこで初めてネイティブアドの効果を最大化することができます。そのため、ネイティブアドは一般的なディスプレイ広告よりもコンテンツの質を求められます。
2.ネイティブアドがおすすめのケース
ネイティブアドはバナー広告が得意とする、商品の購入や会員登録などのコンバージョン獲得を目的としたキャンペーンや、セールス色の強い案件にはおすすめできません。
どちらかというと、商品・サービスに関わる情報を詳しく語るLP(ランディングページ)や、ブランドブランドサイトへの流入を最大化したいケースに向いています。 これを踏まえて、ネイティブアドが具体的にどのようなケースに向いているかを次の章で見ていきましょう。
3.フォーマット別のおすすめケース
IAB(インターネットアーキテクチャ委員会)ではネイティブアドの分類を次の6種類と定義づけています。インターネット広告の手法は常に進化の過程にあるので、今後新たな分類が誕生する可能性が大いにありますが、まずは現状として参考にしてください。
(1)インフィード型
インフィード型とは、メディアやSNSの更新情報を表示する場所=「feed」の中に表示「in」されている手法のことです。インフィード型は3つに細分されます。
①インフィード型-1
読み物としてコンテンツに溶け込ませる「記事広告」のタイプです。広告したい商品・サービスの強みや特徴を深堀した記事として訴求できるため、新規性のあるサービスの理解促進や、高額な商品のメリット紹介など、ユーザーとの接点づくりやブランドへの理解を深めたいという目的に向いています。
②インフィード型-2
InstagramやTwitterなどのアカウントコンテンツの間に表示する「SNS広告」のタイプです。日常的な利用者が多く、ユーザー属性や日頃の興味・関心が如実にあらわれる媒体なので、ターゲティングを明確に絞り込んでアプローチできます。 広告をクリックすると掲載メディアの外部にリンクされます。自社ブランドサイトに遷移させてブランドイメージの訴求を図ることができます。
③インフィード型-3
上記2に似ていますが、ネイティブアドのリンク先が掲載メディアの内部で完結するものです。例えば、ネイティブアドをクリックしその場で動画を再生させるといったことができるので、キャンペーン動画など、明確に「見せたい情報」があるケースに活用できます。
(2)ペイドサーチ型(検索連動型広告)
GoogleやYahoo! などの検索結果ページに表示される「リスティング広告」も、ネイティブアドにあたります。ユーザーが興味・関心を持って入力する検索ワードと連動しているので、モチベーションの高い層に広告をタイムリーにPRすることができます。
(3)レコメンドウィジェット型
レコメンドとは「推奨すること」です。ユーザーが読み終えたコンテンツ記事の下部に、「よく読まれている記事」「関連ページ」などと表示されている広告のことです。広告主が任意で配信先を指定することはできませんが、広告内容に関連する記事に興味・関心を持ったユーザーにリーチするので、リンク先のページを読んでもらえる可能性が高まります。
(4)プロモートリスティング型
上記2のペイドサーチ型と同様に検索結果ページに表示されるタイプですが、GoogleやYahoo! などの検索エンジンではなく、ECサイトや情報メディアの広告媒体を対象としています。例えば、楽天やAmazon、食べログなどがそれにあたります。 広告の内容は、該当のメディアに関連するものに限られます。ECサイトならそのサイトの掲載商品のみ、グルメサイトならお店情報のみとなります。
(5)インアド型(IABスタンダード)
通常のバナー広告枠にネイティブアド要素の広告を表示することを意味します。セールス色の強いバナー広告と比較してコンテンツと関係のある内容の広告なので、ユーザーの満足度向上の効果が期待できます。「IABスタンダード」とあるように、IABが定めた広告枠の基準をクリアする必要があります。
(6)カスタム型(その他)
上記5つにいずれも分類されないものを指します。認知度の高いものでは「LINEスタンプ」がカスタム型にあたります。「広告」というよりも、企業イメージを感じさせる絵柄などを用いてブランドのファンを増やすことを目的としています。
4.ネイティブアドの主要媒体
ネイティブアドの主要媒体を6つご紹介します。
(1)「Outbrain」世界最大級の広告プラットフォーム
世界中にネイティブネットワークを持ち、CNNやmsnといった世界の主要メディアへの出稿が可能なネイティブアドの主要媒体が「Outbrain」です。Outbrainの強みはまさにグローバル規模のユーザーにリーチできることです。公式ホームページでは世界のインターネット人口の約1/3に対して広告を配信することができると発表しています。 Outbrainは、上記3のレコメンドウィジェット型を主要サービスとし、独自のアルゴリズムでユーザーの興味・関心に響くネイティブアドの配信を行っています。
(2)「LOGLY lift」日本初のネイティブ広告プラットフォーム
日本ではまだ馴染みのなかったネイティブアドの浸透に貢献したのが「LOGLY lift」です。ログリーの強みは国内発祥企業ならではの「日本語の文脈」にこだわった独自のテクノロジーです。日本の8割以上のあらゆるウェブサイトのコンテンツの「文脈」を理解し、どのサイトが何について語っているかを微妙なニュアンスまで分析することができます。この分析を、媒体のトーンアンドマナーに合わせたネイティブアド配信に活かしています。
(3)「Bypass」スマートフォン向けのインフィード広告に強い
「Bypass」は、スマートフォン特化型広告配信プラットフォームとして2014年に誕生しました。スマートフォン向けのインフィード広告在庫は国内最大級といわれています。海外のパートナーとの連携により、グローバル展開を望む広告主のニーズにも応えます。広告が表示される度に広告効果を予測し最適化を行います。レポート機能も充実しているので、運用成果をチェックしながらより綿密な広告戦略に活かすことができます。
(4)「popIn Discovery」900超の優良メディアに配信
900を超える優良メディアをネットワーク化した「popIn Discovery」は、レコメンドウィジェット型の広告プラットフォームです。 掲載先は大手新聞、出版、通信社をはじめとした優良メディアで、特許技術であるREAD機能により証明された“読まれる記事”をおすすめ(=レコメンド)するので、次々と記事を読みつなぐ「熟読のループ」が作り出され、サイト離脱率を抑えることが期待できます。
(5)「MicroAd BLADE」使いやすい管理画面が魅力
広告主向けのプラットフォーム「MicroAd BLADE」は国内最大規模のユーザーのデータベースをもとに、高精度で多彩なターゲティングを実現しています。 ネイティブアドの他にも、静止画・動画・ダイナミックバナーなどのあらゆる表現方法の広告の配信が可能で、PCやスマートフォンだけでなく、デジタルサイネージ等のパブリックツールにも配信を実装しているのが特徴です。
(6)「Logicad」独自開発の人工知能を搭載
「Logicad」は、ソニーグループの技術力をもとに開発された広告配信最適化プラットフォームです。独自のアルゴリズムをもとにLogicadの有する膨大なデータを分析し、広告配信を改善しています。
不適切な掲載先を除外、不正な配信を防ぐ対策、なりすまし等の不正広告を防止する機能などを実装しており、安全性のある配信が可能です。 またSo-netのトップページの広告枠に優先的に表示するなど、プレミアムな広告枠の確保を進めています。
まとめ
今やインターネットの使用は幅広い世代にとって日常となりました。それに伴い、インターネット広告の手法は常に模索され、進化しています。ユーザーの「広告疲れ」に着目して誕生したネイティブアドのように、これからも新たな広告手法は誕生していくでしょう。ネイティブアドのような注目されている広告手法を使いこなしながら、未来の成功を目指してください。
参考サイト
ネイティブアドとは|意外な6つの種類や運営に大切なこと
https://www.leadplus.net/blog/what-is-native-ads.html
これさえ読めばすべて分かる!ネイティブ広告の全種類と活用法
https://webbu.jp/native-ad-669
IAB ネイティブアド・プレイブック(翻訳:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)
https://www.dac.co.jp/press/pdf/20140619_iab_nativead.pdf
ユナイテッドのDSP「Bypass」、サイバーエージェントのインフィード広告特化型SSP「CA ProFit-X」と接続開始
https://rtbsquare.work/archives/12129
『MicroAd COMPASS』、ネイティブ広告の対応開始
https://www.microad.co.jp/news/detail/872/