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松山

負けないベンチャー企業の広告戦略

商品やサービスを購入してもらうためには、顧客のサービス認知度を上げるために広告戦略が重要な手段となります。

しかし、一般企業と比べて予算や時間に限りがあるベンチャー企業では、「どのような広告戦略が広告費用を効率的に活用し、利益を最大化できるのだろう」と悩んでいる場合もあるでしょう。

今回は、ベンチャー企業が広告戦略を立てる上での課題や、広告戦略の立案方法、運用のコツを説明し、負けないベンチャー企業が実践する広告戦略について解説します。他社での広告運用事例も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1 負けないベンチャーの広告戦略

スタートアップにおける広告戦略を練る上での課題

ベンチャー企業は、大手企業と比べて広告予算が限られているため、広告展開の際は短期間で最大限の効果を出すことが課題です。そのため、効果的・効率的な方法を選択して実践することが求められます。

何でもかんでも広告出稿をしてみよう、という仮説のない広告費用の使い方だと、短期間で効果的な広告戦略を導き出すことは困難です。まずは、「目標設定→目標と現状のギャップを分析→課題の洗い出し→施策実行→振り返り・施策の改善→再実行」のサイクルで進めるとよいでしょう。

攻めの広告戦略と守りの広告戦略

広告戦略には『攻め』と『守り』2種類の戦略があります。攻めの戦略とは、市場を開拓し新規顧客を獲得をすることで、守りの戦略とは、既存顧客の需要と競合他社への顧客流出を防ぐことを意味します。事業を拡大させるには、この攻めと守りのバランスを取ることが重要です。

攻めの戦略、守りの戦略どちらか一方では事業の継続的な成長を見込むのは難しいため、基本的には守りを固めながら攻めのタイミングや市場の動きを見極めるとよいでしょう。

両者の違いや特徴を理解し、自社に合った広告戦略を立てることで、売上アップやブランディング効果が見込めます。

攻めの広告戦略

一般的に、攻めのビジネス戦略は、既存の市場に留まらず新しい市場を切り拓き、商品の普及拡大の可能性を開拓することが目的です。たとえば、実店舗を持つ企業が新規エリアに出店したり、新商品やサービスのラインナップを増やすことも攻めのビジネス戦略といえます。

広告戦略としては、競合他社の設定しているキーワードに狙いを定めることを意味します。こうすることによって、ユーザーが競合他社のキーワードを検索した際に、自社の広告が検索結果ページに表示され、競合他社の顧客を自社に引き付けるきっかけを作ることができます。

守りの広告戦略

守りのビジネス戦略は、既存顧客を維持するために商品やサービスのクオリティを重視したり、売上アップのために顧客ロイヤリティを高めたり、ブランド力を高めたりする戦略のことをいいます。

広告戦略においては、自社の製品やサービスに関連するキーワードに広告を出稿します。これにはリスティング広告が活用されることが多いです。競合他社が展開している商品に対し、自社の製品やサービスの優位性を強調し、既存顧客の需要に応え、顧客を流出させないことが目的です。自社のターゲット層に的確にリーチし、競合他社からの市場シェアを守ることができるでしょう。

2 広告戦略を立てるうえでの手順やコツ

広告戦略はPDCAを回して改善・分析を行うことが重要です。「目標設定→現状→目標と現状のギャップを分析→課題の洗い出し→施策実行→振り返り・施策の改善→・再実行」のサイクルで進めるのがおすすめです。

それぞれ、詳しく広告戦略の立案手順を確認しましょう。

(1).広告戦略の目的・目標決める

はじめに、広告を出稿する目的・目標を明確にしましょう。目的を定めないまま広告運用を行うと、広告媒体や予算、クリエイティブの設定を適切に行えず、不必要に予算がかかってしまうおそれがあります。

まずはどのような目的で広告を出稿したいのかを決め、マーケットリサーチや、顧客理解をしましょう。

広告出稿の主な目的は以下です。

・企業のブランディングをする

・自社商品の認知を拡大させる

・コンバージョンさせる(資料請求/問い合わせ/会員登録/購入など)

(2).予算を決める

広告予算内で広告戦略を練りましょう。出稿費用の決め方は目的によって異なります。

例えば、コンバージョンが目的の場合は、目標のコンバージョン件数をもとに、コンバージョン1件あたりにかかる広告費用の指標「CPA(Cost Per Action)」を算出し、それに見合う金額を設定します。

(3).ターゲットを決める

目的・目標を元にターゲットを設定します。ターゲットとは、自社の商品やサービスを届けたい相手の性別や年齢などの顧客像を明確にしたものです。

ターゲットは、広告媒体やクリエイティブを決めるために重要です。訴求したい商品やサービスに対して、性別や年齢など最適なターゲットは異なります。自社の取り扱う商材がどこの顧客層のニーズを満たすのか、そのターゲットにどのようなメリットを提供できるのかを分析してみましょう。

(4).出稿媒体を決める

Web広告には、代表的なものでGoogle広告やYahoo!広告、Meta広告など媒体がさまざまあります。媒体によって利用するユーザー層が異なり、それぞれの特徴があるため、ターゲットが見る頻度の多い媒体へ広告を出稿するようにしましょう。

例えばYahoo!のユーザー層は男女ともに50〜64歳のユーザーが最も多いため、高年齢層向けの商材を扱う場合はYahoo!広告との相性がよい場合があります。

(5).クリエイティブを作成する

出稿媒体が決まったら、クリエイティブを作成しましょう。クリエイティブとは広告を構成する要素のことで、広告文だけでなく、画像や動画もクリエイティブとして設定できる媒体もあります。

媒体ごとに、画像なのか動画も利用可能なのか、画像サイズがどのくらいなのかは異なるため、入稿フォーマットに合うクリエイティブを作成しましょう。媒体に関する留意点としては、掲載場所によっても広告に接触するユーザーの心理状態が異なる点です。

ターゲットによって惹きつけられるクリエイティブの種類は異なり、広告の印象が変わることもあるので、さまざまなパターンを作成し、イメージに近いものを採用します。複数パターンでテストを行い、データを元に一番効果の高いクリエイティブを使用することで、最適な広告戦略を見極めましょう。

クリエイティブ制作では、商品やサービスのどこをアピールするかが重要です。設定したターゲットのニーズを汲み取り、商品やサービスによってニーズに応えられる商品であることを効果的にアピールする表現を考えていきます。

特に、他社との差別化につながることから、ニーズの中でも表に出ていない潜在ニーズに訴えることが重要です。商品スペックなどの事実よりも、ターゲットが最終的に、その商品を通してどのような利益を得られるかを伝えることです。

3 守りの広告戦略の実践で重要なこと

購入確率の高いキーワードを見つける

守りの広告戦略で重要なことは、購入確率の高いキーワードをいち早く見つけて入札することです。購入に繋がりやすいキーワードには特徴があります。

その1つが、行動系のキーワードと呼ばれています。「〜を買いたい」「〜をしたい」「〜に行きたい」「〜を知りたい」などの行動型キーワードは、検索ユーザーの検索意図が具体化しているため、Webサイト上で起こしたいアクションが明確です。

そのため、ユーザーの求めている目的と合う商品やサービスを効果的に訴求できるのです。

行動系キーワードの例:

「●● 購入」「●● 依頼」「●● 比較」「●● 相談」「●● 予約」など

購入確率の高いキーワードを見つけるためには、自社の製品やサービスの特徴や顧客のニーズを十分に理解する必要があります。

たとえば、法人向けのセキュリティ対策ソフトウェアを提供するスタートアップが、検索ボリュームの高いキーワードを分析します。結果、「法人セキュリティソフト」というキーワードが購入確率の高いことが判明した場合、それをリスティング広告に活用することで、効果的な広告展開が可能です。

入札単価が安く購入確率が高いキーワードに掲載する

購入確率の高いキーワードを見つけたら、入札単価を最適化することが重要です。入札単価とは、広告1クリックに対して企業が支払う金額のことです。

守りの広告戦略においては、「完全一致」×「個別クリック単価」の設定が効果的です。特定のキーワードを完全一致で購入し、無駄を省いて守りのマーケティングに注力することを意味します。

他社も同じキーワードを狙っている場合、入札価格が上昇するリスクがありますが、個別クリック単価を設定することで価格の上昇を抑えることができます。

さらに、特定のキーワードとランディングページとの親和性を高めることが重要です。広告とそのリンク先のページの内容がユーザーにとって有益で、関連性の高い内容だと判断されると、広告ランクは向上します。

4 負けないスタートアップの守りの広告戦略実践事例

(1).学習塾M教室:新校オープンの訴求

進学校への合格を目指す学習塾のM教室では、新校の開校訴求や春期講習、キャンペーンの告知を目的としてYouTube広告に出稿しました。

高校や大学の受験層やその保護者をターゲットとし、学習塾への資料請求や見学申し込みの獲得を目的に広告戦略を立て、月間200〜500万円の予算で通年広告運用を行いました。

プロモーション上、応募率の引き上げが課題となっていましたので、YouTubeの動画上で、学習塾での合格実績を受験シーズンである2〜月はとくにタイムリーに広告動画を公開し、他の学習塾よりも合格実績の面で強いことを表すことで、CPA5,000円前後で獲得できる成果となりました。

(2).R社:中途採用のプロモーション

SaaS事業を展開するR社は、中途採用のプロモーションにMeta広告を活用しました。ターゲットはSaas系の求人に興味がある人、目的は中途採用の説明会参加の獲得です。月間100〜150万円を予算とし、期間は2022年から現在まで続いています。

クライアント企業が求める人材とのマッチ度を高めることが課題でしたが、Meta広告のクリエイティブ側での表現を工夫することにより解決。CPA8,000円前後での獲得となりました。

R社はテレビCMなどで企業の知名度は高く、急成長中の企業であるため、他社よりも採用において有利な状況だと考えられます。しかし、知名度がある分応募の質が下がりやすいことが問題となっていました。「働きやすい」「誰でも応募可能」といった安易な訴求は、応募率を上げるためには有効でしたが、求める人材とのマッチ度に課題があったのです。

そこで、表現を変えて一定のハードルを設けることにし、広告の動画や静止画の訴求では安易な訴求をせず、「働くことで企業と一緒に成長したい人」を対象とした訴求を行いました。その結果、管理画面上のCPAは上がりますが、応募の質を高めることに成功しました。

6 まとめ

負けないベンチャー企業の広告戦略としては、まずは守りの広告戦略から実行することが効果的です。限られた予算や時間内で、効果的かつ効率的に広告運用を行うため、まずは守りに注力しましょう。

守りの広告戦略も、PDCAを回して改善・分析を行い、低予算の中でも顧客獲得単価を最適化できるようにしましょう。リスティング広告の「完全一致」×「個別クリック単価」設定を行うことで、費用対効果が高く新規の顧客を獲得できます。

次に、SNSやSEO、バナー広告などへの取り組みを検討すると良いでしょう。まずは守りのマーケティングを確立してから、新たな戦略に挑戦しましょう。

参照:

https://tcd-theme.com/2021/04/conversion-keywords.html

https://support.google.com/google-ads/answer/2390250?hl=ja