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P-MAXキャンペーンとは?メリットデメリットと運用時の注意点まとめ

Google広告を更に活用していきたい、効果を向上したいと考えている企業の方、P-MAXキャンペーンは導入していますか?

P-MAXキャンペーンは潜在顧客の獲得や広告運用の工数削減に効果的なキャンペーンです。

この記事では、P-MAXキャンペーンのメリット・デメリットと導入時の注意点をご紹介します。

1.P-MAXキャンペーンとは

P-MAXキャンペーンは、国内では2021年に提供が開始されたGoogle広告のキャンペーンタイプです。従来のキャンペーンと仕組みは同じで、すべての広告主が使用できます。

Googleの全ての広告枠に配信可能な点と、GoogleのAI技術を活用して広告パフォーマンスを自動的に最適化できる点が特徴です。

2.P-MAXのメリット

・1つのキャンペーンだけでGoogle広告の全ての広告枠に配信が可能

・AI学習による配信

・幅広いユーザーへアピールできる

・細かい調整が不要になる

・コンバージョン数増加に向けた配信

(1).1つのキャンペーンだけでGoogle広告の全ての広告枠に配信が可能

従来はリスティング広告やディスプレイ広告、YouTube広告とそれぞれにキャンペーンを分けて運用していましたが、P-MAXキャンペーンは1つのキャンペーンで全てに配信が可能です。

これまでキャンペーンを設定しておらず配信されていなかった広告枠にも配信されるため、潜在顧客の獲得が期待されます。

(2).AI学習による配信

広告主がキャンペーンの目的やコンバージョン目標を設定すると、GoogleのAI技術により目標に向けて自動でキャンペーン内容の設定や改善を行います。自動設定後の調整はほぼ不要のため、広告運用の工数を削減できるメリットがあります。

広告主が設定する内容

・キャンペーンの目的設定:販売促進、見込客獲得などの中から選択します。複数選択も可能です。目的を指定せずにキャンペーンを作成することも可能です。

・コンバージョン目標の設定:たとえば自社サービスへの申し込みといったコンバージョンの目標を設定します。反対に不要なコンバージョンは削除しましょう。

・予算、入札単価の設定

・配信地域言語、最終ページURLの拡張、その他のオプション設定

・広告アセットの設定:画像、テキスト、動画などのクリエイティブを用意する

・オーディエンスシグナル(業界、ターゲット層)の設定

・表示広告オプションの設定

(3).幅広いユーザーへアピールできる

Googleのあらゆる広告に配信されるため、手動設定では考慮しきれなかった潜在顧客へアピールできます。

さらにAI学習により人的判断や設定だけでは予測できなかったターゲティングが可能です。

(4).細かい調整が不要になる

予算とコンバージョン、広告アセットを設定すると機械が広告内容を自動で設定します。1度設定を行うと自動的に学習し最適化を行うため、設定後の細かい調整が不要です。

またターゲットごとに最適な広告やクリエイティブの組み合わせを機械学習し、最適な組み合わせを自動的に設定してくれます。

(5).コンバージョン数増加に向けた配信が可能

広告配信の目的を設定すると、目的に合わせて自動設定と改善を行うためコンバージョン増加が期待されます。

設定可能な目的は以下の4つです。広告目的に合わせて設定しましょう。

・販売促進

・見込み顧客の獲得

・ウェブサイトのトラフィック

・来店数と店舗売上の向上

導入事例

 P-MAXキャンペーンを活用して成果をあげている事例をご紹介します。

freee株式会社(「freee会社設立」サービス)

導入前:

これまではリスティング広告を中心にユーザー獲得を図っていましたが、幅広い潜在顧客獲得のため新たな広告やキャンペーンを検討し、P-MAXキャンペーンを導入しました。

導入後:

P-MAXキャンペーンではコンバージョンの価値(CV値)を地域やデバイス、顧客の属性などの条件に応じて調整できます。重要なCVほど優先的に獲得できるように、各目標の重要度の違いを反映することが可能です。

該当広告のCVデータを分析した結果、PCからのCVが広告効果を発揮しやすいことがわかりました。そこでPCからのCVを他のよりも高く評価するようにCV値を設定しました。結果Google広告経由のCV値は169%増加、会員登録数は7.2%増加となりました。

株式会社IDOM (中古車の販売買取店「ガリバー」)

導入前:

Webサイト上からの申し込みを店舗での成約へと繋げることが課題でした。

導入後:

ユーザーのオンライン上での成約までの行動を分析し、Googleのデータベースを使用して予測成約率を算出しました。算出した数値をCV値として設定しました。その結果導入1ヵ月間で成約率1.4倍、成約単価は30%削減となりました。

3.デメリット

・開始直後から効果を狙うことは難しい

・CPA高騰のリスク

・細かい設定や分析ができない

・クリエイティブを用意する必要がある

(1).開始直後から効果を狙うことは難しい

データが蓄積されるほど精度が高くなるため、パフォーマンスが安定するまでは時間がかかります。配信開始直後から効果を狙うことは難しく、長期的に配信を行う必要があります。

学習期間は、Google公式が「テスト期間は少なくとも4〜6週間を確保」することを推奨しています。

(2).CPA高騰のリスク

Google公式は「日予算はコンバージョン単価の10倍」と推奨しています。たとえばCPA(コンバージョン単価)が1万円の場合、日予算は10万円必要になります。

コンバージョン計測の方法や予算・入札単価の設定変更でCPA抑制も可能ですが、通常の広告運用よりも広告費がかかることは留意しておきましょう。

(3).細かい設定や分析ができない

自動化により細かい設定や分析ができないデメリットが挙げられます。レポートデータが少なく、どのような広告がどの媒体に配信され、何件クリックされたかといった詳細な分析ができません。

成果があっても、なぜクリックに至ったのか、なぜコンバージョンに至ったのか、なにが効果を出しているのか確認が難しいです。たとえばバナーAとBどちらが効果高いかといったテストがP-MAXキャンペーンではできません。

反対に成果が落ちても要因がわからないリスクがあります。

レポートデータで確認できるもの

・広告が配信された場所
・広告の表示回数
・入札価格
・アセット間の成果ランキング
・効果の高いアセットの組み合わせ
→クリック数やコンバージョン数は確認できません

調整できる内容

・広告アセットの入れ替え
・日予算、入札目標の管理

(4).クリエイティブを用意する必要がある

広告アセットに設定するクリエイティブ(画像、バナー、動画など)を用意する必要があります。

せっかく自動化で広告運用の工数が削減できるのに、クリエイティブにこだわりすぎると導入まで時間がかかってしまうため注意です。

また動画広告を用意しておかないと、自動生成された動画広告が配信されることがあります。広告内容と自動生成された動画広告の内容がずれるリスクが生じるため、GIFなど簡易画像でもYouTubeにアップロードしておきましょう。

機械が最適な組み合わせの広告を配信するためにも、クリエイティブの種類を多く設定することをおすすめします。Googleのあらゆる広告欄に配信されるため、どこに配信されても問題ないクリエイティブを用意しましょう。

4.P-MAX キャンペーン運用の注意点

P-MAXキャンペーンの特徴を踏まえた上で、運用時の注意点を解説します。

・手動で細かい要素を調整することは難しい
・画像や動画を用意する必要がある
・既存のキャンペーンと併用
・スポット配信には向かない

(1).手動で細かい要素を調整することは難しい

自動化により調整が不要な点はメリットでありますが、一方で人の手で調整が必要な詳細設定が難しいというデメリットにもなります。

たとえばオーディエンスシグナルを調整することはできますが、ユーザーを細かく絞っての配信は不向きです。

(2).画像や動画を用意する必要がある

広告アセット(テキスト、バナー、動画)を登録する必要があります。登録した中から機械が最適な広告を自動で検索結果やGmailなどの広告枠に配信します。

機械学習を助けるために、画像はサイズ違いで数枚、動画は再生回数違い、画像やバナーのテキストの文字数を変更して数枚、といった複数パターンを用意しましょう。

(3).既存のキャンペーンと併用

AI技術活用による自動化は、どのような効果がでるか実行してみないと不明確な部分が多いです。そのためGoogle広告の他のキャンペーンと並行することをおすすめします。

P-MAXキャンペーンのパフォーマンスが安定するまでは時間を要することと、機械学習による結果の予測がしにくいことから、完全に切り替えると悪化するリスクがあります。並行することでリスクを防ぎます。

Google公式もキャンペーンの並行をおすすめしています。組み合わせることで相乗効果が発生しキャンペーンの効果が高まる可能性もあります。

(4).スポット配信には向かない

機械学習を最適化させるため一定期間配信を続けないと効果が見込めません。

短期間で効果を得たい期間限定商材やセール、割引などのアピールには不利です。

5.まとめ

 機械学習を活用したP-MAXキャンペーンはメリットもデメリットもあります。メリットを伸ばしデメリットを最小限に抑えるためにも、キャンペーンの併用をおすすめします。

すでにGoogle広告に取り組んでいる企業は、既存のキャンペーンに加えて導入してみてはいかがでしょうか。

導入直後の効果は望めませんが、長期的に捉えると問い合わせや申し込みの増加、売り上げ増加、認知拡大、反響増大といった効果が期待できます。

さらに配信~効果測定、調整までを効率化でき、広告配信の工数削減が可能です。

Googleは機械学習に力を入れているため、今後機械学習の精度が高まっていけばますます注力されるキャンペーンとなるでしょう。

実際に、以前は除外キーワードの設定ができないことが課題となっていましたが、2023年1月28日のアップデートで可能になりました。

今後もより使いやすくより精度が高くなることで、広告配信の質の向上に貢献してくれることが期待されます。

参照:

https://support.google.com/google-ads/answer/10724817?hl=ja
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/automation/p-max-casestudy/
https://support.google.com/google-ads/answer/11335596?hl=ja
https://support.google.com/google-ads/answer/13311048?hl=ja&sjid=9488081530232625763-AP