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日辰広告が考えるWeb広告市場の「課題」と「これから」

電通が毎年公開している日本の広告費に基づいて、市場の状況を解説します。コロナ禍はリアルイベントの開催数現象や旅行・観光の縮小にともない一時的に広告費が現象したものの、22年・23年と向上し過去10年で最も多い広告費に増加しています。

※引用:2023年 日本の広告費(電通)

※媒体ごとの大まかな内訳
(1)マスコミ四媒体広告費 2兆3,161億円(前年比96.6%)
(2)インターネット広告費 3兆3,330億円(前年比107.8%)
(3)プロモーションメディア広告費 1兆6,676億円(前年比103.4%)

媒体別で見ても、2021年にインターネット広告費がマスコミ4媒体の広告費を初めて上回りましたが、特にテレビ広告の減少が大きく、マスコミ4媒体の広告費はここ数年減少が続いています。インターネット広告費は前年比7.8%の成長率で過去最高を記録しており、今後も伸びが見込まれます。

他の業種と比較してもこの成長率は非常に恵まれており、外部から見ると非常にポジティブに見えます。しかし、実際にはポジティブな面だけではありません。

デジタル広告のピラミッド構造とその変化

広告代理店の競争状況を説明するために、わかりやすいように広告代理店を5つの階層に分けています。電通博報堂などの総合系のトップの広告代理店を①として、その後下層に降りていくに従って、Web広告専業であったり、組織規模や保有するクライアントの規模が小さくなるイメージです。

①の企業はテレビ広告に売上の多くを頼っていますが、先ほどの日本の広告費に挙げられるように、マスコミ4媒体の広告費は年々減少傾向にあるため、企業として売上を維持向上するために、②のクライアントへの提案やコンペへの参加を行なうようになっています。

さらに②の広告代理店では、元々のクライアントを死守しつつ、それでも一定の確率で①にリプレイスされてしまうため、③への案件獲得も進めています。

一方で、Web広告は独立開業の参入障壁が低く参入企業は増えており、組織規模を拡大するためにより上位のクライアント獲得を図っています。

上記を踏まえると、これまでコンペが開催されていなかったり、競争性の低かった②や③の案件でも、様々な企業が獲得に参入し、競争が激化しているという状況です。

日本の広告費自体は伸び続けている一方で、各広告代理店の売上金額を向上させることは非常に難しく維持することも難しい企業も多いでしょう。

テクノロジーの変化による広告運用への影響

Web広告はテクノロジーの進化の影響を非常に受けやすい業界です。

2010年頃まではWeb広告をクリックしてもらうことが目的の中心でした。そもそもWeb広告を配信したことがない方が多く、「インターネット広告って何?」という方が多くいた時代です。

その後2020年頃までCookieなどテクノロジーの進化により計測の精度や幅が広がり、データを用いたターゲティングや正確な計測という分野に転換して来ました。この頃になると、計測できるデータの種類や精度が非常に高いため、テクニック的な広告運用で成果を上げる会社が出てきました。その結果、DSP(ディスプレイネットワーク)など新たな媒体が台頭したり、アフィリエイト広告で大きな収益を上げる企業が登場しました。

しかし、2020年以降にはGDPRを皮切りとして、プライバシーや個人情報保護の波があり、計測の揺り戻しが起きてきました。「技術的には個人情報など正確な情報は取得できるけれども、法的にそれらのデータ取得を許さない」という流れです。GoogleやMetaなどの広告媒体側も個人情報保護に適用されるように計測の形を変え、広告管理画面のブラックボックス化が進みテクニック的な広告運用は通用しづらくなりました。同時に、アフィリエイト広告の配信も問題しされ、法的に制限されるようになりました。さらに、さらには画像やテキストの生成AIも登場し、広告運用者が広告管理画面上で行える成果改善の施策は以前よりも限定的になりました。

つまり、広告管理画面に設定を入れる前時点の上流工程によって、成績が決まるようになりました。

特に最近のMeta広告やTikTok広告は手動でコントロールできる部分が非常に限定的で、いかに機械学習をうまく機能させるかが鍵となっています。

これからのデジタル広告市場のあり方

これまではデジタル広告は新しい広告手法という立ち位置でしたが、今後は良くも悪くも「標準的な広告手法」になっていきます。
情報の非対称性が解消され、誰でもデジタル広告を取り入れる時代になります。
事業会社が自社でデジタル広告を扱うことも増え、広告の配信設定もより簡単にシンプルになっていくでしょう。

そんな中で我々の役割は何でしょうか?
日辰広告は、「替えの効かないデジタルマーケティング・ブレーンであること」が役割だと考えています。

例えば、現在「投資」というジャンルで考えると、昔は一部の富裕層のものでしたが、時代や政治的な背景もあり、現在では一般の多くの方が何らかの投資を行っていることでしょう。

投資が一般に広く浸透した一つに「ネット証券」の登場が挙げられると考えます。
ネット証券が登場したことで、誰でも簡単にオンラインで投資が行なえ、金額的なハードルも下がりました。

しかし、本当に投資の仕組みを理解して、銘柄やリスク分散を行えている方がどれほどいるでしょうか。おそらく、「誰かから進められた」や「おまかせコース」などで取り組む人が多いと思います。
証券の世界で、その受け皿となっているのが野村證券などの元来の「証券会社」ですが、ネット証券と通常の証券会社はニーズごとに線引きがなされ、「証券会社」には、ブレーンとしての役割を求める資産家が集まり、いまもなお必要とされ続けています。

今後もおそらく日本の広告費は伸びますが、単なる「広告運用」という機能としての必要性は薄まり、その分デジタルのブレーンとしての価値が高まると考えています。

デジタルマーケティングのブレーンとしての役割を多くの会社に

デジタルマーケティングを本当の意味で取り入れるとなると、多くのスキル・時間的労力を必要とします。

「Web広告の知見」
「動画やバナーのクリエイティブ制作」
「Webサイトの分析/改善」
「デジタルツールの導入/設定/運用」

など多岐にわたり、とても担当者一人で背負えるような内容ではありません。

我々は、日々いくつものクライアントのデジタルマーケティングをお受けし、日々数字や課題に向き合い、経験を重ねています。デジタルマーケティングの手法は、一般的なマーケティング書籍に記載されている教科書的な知識やセオリーはもちろん必要ですが、それだけでデジタルマーケティングを成功に導くことはできません。

クライアントの組織体制、市場や競合の状況、製品/サービスの強み・弱みなど様々であり、本当の意味では1社ごとに取り組んだほうが良いデジタルマーケティングは異なります。

我々がこれまで経験してきたデジタルマーケティングのノウハウを、クライアント企業に提供し、クライアントの事業成長・事業推進に役立て、その結果、我々にはまた新しいノウハウが蓄積されます。さらには、また別のクライアントにより良い支援を行うことができます。

我々がデジタルマーケティングのブレーン的存在となることで、デジタルマーケティングに正のスパイラルを生み、真のデジタルマーケティング支援者を多く生み出していきたいと考えています。