NISSIN(日辰広告株式会社) NISSIN(日辰広告株式会社)

Tips

 AI技術×人の力でつくる「成果を生む戦略的クリエイティブ」

1.なぜいま広告クリエイティブで生成AI活用が重要なのか?

広告クリエイティブでは、”制作のスピード”が非常に重要です。

Meta広告などの広告配信プラットフォームでは、いくら成果の良い「勝ちクリエイティブ」を作っても、入稿後わずか1〜2週間で効果が薄れてしまうことも多いからです。しかし、クライアント側で用意できる素材には数に限りがあることも多く、必要な人物やシーンがないと制作の幅が狭まってしまいます。

そのため、弊社では積極的に生成AI画像を活用しています。生成A画像は、テキストを入力するだけで、求めているシーンやカットを作り出せるため、以前よりも早いスピードでクリエイティブ制作が可能になりました。また、従来のように高額な撮影費用をかけなくとも、必要なクリエイティブが手に入るようになりました。

さらに、少し前までは、一目で「AIっぽい」とわかってしまうのが生成AI画像の特徴でしたが、今では実際の写真と見分けがつかない程の画像も生成できるようになりました。

2.生成AI活用時の注意点

しかし、AIはまだ発展途上で、未熟な部分が多いのも実際のところです。

2025年7月に、大手航空会社の公式サイトで、現実にはありえない画像(ポップコーンにストローが突き刺さっている、フォークの形がおかしい等)が使用されたことで炎上したという事例がありました。

弊社の制作過程においても、炎上リスクを伴う画像が生成されることが度々あります。AI生成画像はまだ、100%指示通りに動く”魔法のツール”ではありません。ブランドイメージに悪影響が出ないように、生成画像のチェックは重点的に行うことを心がけています。

▼弊社では下記のようなチェックリストを活用しています。

さらに、AIツールごとの得意・不得意を活かした対策も行っています。
詳しくは、実際の制作プロセス(下記)の中でお話しします。

3.生成AIを使ったバナー作成フロー

実際に弊社で行っているクリエイティブ制作フローをご紹介します。

ステップ①
「情報ヒアリング」

弊社では、クライアントの事業を「よく知る」ことを大切にしています。

なんとなく理解している程度では、広告戦略が的外れになり、予算を無駄に費やすリスクが高まってしまうからです。そのため、定期的にコミュニケーションのお時間をいただき「顧客の属性」「競合の状況」「今後攻めたい領域や獲得を伸ばしたいターゲット」など、詳細な情報をお聞きしています。

こういったコミュニケーションが戦略の土台となり、広告効果の最大化に繋がると考えています。

ステップ②
「市場調査/競合調査」

次に、競合が“どんな広告戦略を展開しているか”を調査します。特に、どのような”クリエイティブ”(バナー画像・バナー動画・記事LP等)を出稿しているかを確認します。

具体的には、Meta社が提供する「Facebook広告ライブラリ」や、より詳細なデータを読み取れる有料ツール(Similarwebなど)を活用して調査を行っています。もちろん、調査は一度で終わりません。定期的に競合のクリエイティブをチェックし、最新の動向をキャッチしています。

※有料ツール:膨大な広告データを収集・整理し、今「売れている広告」を特定、市場のトレンドや、流行りの訴求方法を調べることができます。

ここからは、クリエイティブ制作に入ります。

ステップ③
キャッチコピーを考える

実際の制作は、コピーから考えています。

まずはじめに、
①ユーザーがどんな悩み(『困った』や『こうなりたい』)を持っているか?
②ユーザーの悩みに対して商材がどのように価値を届けることができるか?
という、お客様と商材がマッチする訴求ポイントを探します。

ここで活用しているのが、Google社のAIツールNotebookLMです。

このツールは、ChatGPTなどと同じように、チャットで質問を投げて、AIが回答してくれるというものですが、他のAIツールと大きく違うのが「自分が入れた情報の中から”のみ”回答を出してくれる」ということにあります。公式のHP、LP、YouTubeのリンクをソースとして入れておけば、その中から回答を出してくれるため、正確な公式情報をもとに訴求ポイントを考えることができます。

NotebookLMで行う具体的な作業内容は、

「この商材にまつわるターゲット〇〇(経営者、男性、年齢・・等入れる)の悩みを全てあげてください」
「ターゲットが自分でも言語化できていないような悩みを教えてください」(潜在層)
「他の商品と比較している人は、どこを気にしていると思いますか?」(準顕在層)
「すでに商品を悩んでいる人のボトルネックとして考えられることも教えてください」(顕在層)

といったプロンプトを投げて、ターゲットの悩みの解像度を上げていきます。

悩みを洗い出した後は、ツールを「ChatGPT」「Grok」に切り替えて、コピーの制作に入ります(コピーは、NotebookLMよりもChatGPTやGrok等が良いアイデアを出してくれます)。

「〇〇という悩みを持つターゲットが読んだ時に、どうしても先が読みたくなってしまう言葉を考えてください」
等と、ラリーをしながら、コピーの候補を出していきます。

目に止まるコピーが見つかったら
「このコピーの方向性で、さらに50個アイデアをください」
等と、さらにブラッシュアップをかけていきます。

コピーを選ぶ際のポイントは、ひとつは「パッと見て、理解できる」(頭で考えなくても、理解できる)くらいのわかりやすさを大切にしています。過去の成果を比較すると、こねくりまわしたものよりも、ストレートでわかりやすいコピーが成果を出している傾向があるためです。

また、SNSの”おすすめ競争”に勝ち抜いた「オーガニック投稿」に埋もれないクリエイティブを制作するためには、少しドキッとするような言葉を入れることができると尚良いと考えています。(特に潜在層向けの場合は、この要素を強めに意識します。)

その一方で、ユーザーの指が止まるような言葉選びができたとしても、何の商材かわからないようなクリエイティブを作ってしまうと、クリックだけ伸びて(費用だけ発生して)、CVに繋がらないという最悪な結果になってしまいます。そのため”商材”から遠ざからないようなコピーを選ぶことも大切です。この点は、ブランド広告(イメージ広告)とは異なる部分だと思います。

例)毛穴カバーファンデーションのコピー
商材に近い(WEB広告):諦めていた毛穴の黒ずみに、毛穴カバー下地。
商材から遠い(ブランド広告):触れられる喜びを知った。

ある程度候補を出したあとは、クライアントのことをよく理解しているチームメンバーとディスカッションを行い、さらにブラッシュアップをかけていきます。コピーの段階で間違った方向に進んでしまうと、その後の作業をいくら頑張っても意味がなくなってしまうので、AIを活用しつつも、時間をかけて取り組んでいます。

ステップ④
ビジュアルの方向性を考える

次は、ビジュアルを考えます。潜在層向けなのか?顕在層向けなのか?によって、使用する素材の方向性を決めることができます。

具体的には、潜在層に対しては「悩み」に対して訴求するため、”ターゲット”にまつわること(人物、体のパーツ等)をビジュアルに置くことが多く、その場合には「生成AI」を活用します。(ターゲットに近い人物画像をビジュアルに置くことで「自分ごと化」しやすいためです。)

一方で、顕在層に向けては「解決策」である”商品やサービス”の強みを伝えるため、商品やサービスそのものをビジュアルに置くことが多く、その場合には「実際の写真」を使用します。

例)
潜在層『悩みコピー:毛穴の黒ずみ、放置していませんか?』→AIで毛穴の画像生成
顕在層『解決策コピー:プレミアム毛穴カバーファンデ登場』→商品写真

(最終的に逆にすることもありますが、入り口の段階ではこの分類を行うと作りやすいと思います。)

ステップ⑤
AIで画像生成

「AIで画像生成」を行う場合には、下記のような工程が続きます。

まずはじめに、ChatGPTにビジュアル案考えてもらいます。ここでは「このコピーの、ビジュアル案を考えてください」とシンプルに言うだけです。数秒でいくつもの案を出してくれるため、人が考えるよりもよっぽど効率がいいですが、正直、使える時と使えない時があります。

ChatGPTの案では使えそうにない場合は、人の頭でアイデアを考えてみたり、バナー参考サイトの「Pinterest」や「BANNER LIBRARY」を見てイメージに近い画像を探します。

こうして元になるおおよそのアイデアが出たら、いよいよAIの画像生成に入ります。

AI画像生成では主に「Midjourney」を使用しています。複数のAIツールで画像生成の比較をしましたが、生身の人間に近い”リアルな肌感”を出せるのは今のところMidjourneyが一番良いと感じています。(漫画などのイラスト生成ではChatGPTを使うこともあります。)

プロンプトはMidjourneyにいきなり打つのではなく、ChatGPTに作ってもらうほうが生成の精度が上がります。

ここでポイントになるのが、通常使用するChatGPTのチャット欄ではなく、GPTsという目的特化のチャットを使用するということです。(ChatGPT内にあり、すぐに使えます。)

2025年8月現在使っているのは「Midjourney V7 – Photorealistic Image Prompts」というGPTsです。こちらを使えば、「Midjourneyのプロンプトを考えてください〜」など細かいことを言う必要もなく、いきなり「男性、日本人、40代・・」のように打つだけで、勝手に情報を補完してくれて、いい感じのプロンプトを考えてくれます。

(通常利用しているChatGPTにプロンプト生成を依頼すると、Midjourney上でエラーが出てしまうことも度々起こりますが、上記のGPTsで打てば、そのようなこともめったに起きません。)

※但し、会話も英語で出てきてしまうので「日本語訳もください」と始めに入れます。

こうして出来上がったプロンプトを、Midjourneyに投げます。一発でイメージ通りの画像が生成されることはほぼないので、何度も修正をかけます。修正の時にもGPTsのチャット欄で打ち、プロンプトを作ってもらいます。

ここでMidjourneyの弱点をお話します。

2025年9月現在、Midjourneyでは細かい指示(指を5本にしてください、文字を消してください等)が反映されず、修正を行うと、指示してない箇所が変更されてしまうなどの課題があります。

そのため
「イメージにかなり近いものが出たのだが”表情だけ”変えたい。」
「指の数がおかしいから”そこだけ”変えたい。」
という「詰めの作業」に難しさを感じていました。
(補完する機能もあるのですが、完璧ではなく、なかなか指示通りに動いてくれません。)

しかし、そんなMidjourneyの弱点を補完するツールが登場しました。

2025年8月にGoogle社から登場した画像生成AI「NanoBanana」です。

NanoBananaは、他の要素は一切変えずに、ピンポイントで指定した部分だけ変更する精度の高いAIツールです(完璧ではないですが、Midjourneyと比較したら圧倒的に精度が高いです)。そのため現時点では、Midjourneyは画像生成の起点として使用し、最後はNanoBananaで仕上げを行うということが最適だと考えています。

正直、画像生成AIは指示通りに動いてくれないことも多く、100点を目指そうとすると、時間が1時間も2時間も溶けてしまいます。そうならないように、ある程度のところで切り上げることも意識しています。納得がいってないのに切り上げるのは苦しいですが、WEB広告はスピードが求められるので、踏ん切りも必要です。

ステップ⑥
文字組み、デザイン仕上げ

最後は文字組みとデザインの仕上げです。

まずは「置き場所」を考えます。背景に置くビジュアルによって、横書きにするか、縦書きにするかバランスを考えます。横書きの場合には画像のなかで「Z」と読めるように、縦書きの場合には「N」と読めるように文字を配置します。(※視線誘導の基本であるNの法則、Zの法則です。)

次に「文字の大きさ」を決めます。全体のサイズ感はターゲットの年齢などによって調整しますが、基本的には大きめを意識しています。

続いて「強調したい単語」を目立たせます。手法はいくつかありますが、()や”で囲ってみたり、単語の下に色ベタを引いたり、シャドウで囲むなどの手法があります。

文字やベタに使用する色は、コピーのイメージに合わせます。
(例えば・・赤:危機感、青:信頼、ゴールド:高級感など)

最後に文字間などを微調整して仕上げます。微調整の際には、画像を縮小して俯瞰して見るようにします。(俯瞰してみると、気づきがあります。)

4.まとめ

スピードが求められる広告クリエイティブの制作において、AIは欠かすことのできないツールになっています。しかし、AIはまだ発展途上であり、注意点もあります。

弊社では、最先端のAI技術を積極的に取り入れながらも、AIが出した結果を実際に採用するかどうかは人の目で判断しています。その判断根拠になっているのは、データ分析ツールや実際の運用の分析結果、そして何より経験豊富なチームでのディスカッションです。

これからも”最先端のAI技術”と、弊社ならではの”人の力”を活かして「成果を生む、戦略的クリエイティブ」を制作していきます。