働き方が多様化し転職市場も加熱する昨今、誰しもが1度は自身のキャリアについて立ち止まって考え、悩んだ経験があるのではないでしょうか。今回は教育系ベンチャー企業Manabieで国内外の営業を担う松下さんをお迎えし、日辰広告代表の海老名と共に今までのキャリアとこれからの夢や展望について語り合いました。ベンチャー企業で働くこと、また共に営業として歩んできたという共通点から見る、やりがいや働き方についてご覧ください。
日系大手IT企業で営業を学び
夢だった教育事業に携わるべく外資系ベンチャーへ
海老名:まずは松下さんのキャリアを教えていただけますか。
松下:新卒でサイバーエージェントに入社し、メディア事業部でAbemaTVの広告枠の営業をしていました。現在はシンガポールに本社があるmanabieという会社で働いています。以前から携わりたいと考えていた教育事業を行う企業で、私は主に学校や塾への営業を担当しています。海老名さんも外資系企業を経験されて広告に関わっているとお伺いしましたが、どのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。
海老名:そうですね。私は1社目がロイター通信で、インテリジェンス(現:パーソルキャリア)に転職しました。その後広告代理店などを経て、日辰広告を立ち上げました。松下さんと同じくずっと営業としてキャリアを積んできた形です。現在の会社では、海外出張にもよく行かれるのですか?
松下:はい、2週間前までベトナムにいました。今回はグローバルのマネジメントチームが集まるワークショップに参加していました。
海老名:昔から海外に興味があったのでしょうか?
松下:学生時代はバックパッカーでした。アフリカのタンザニアから陸路で縦断し、南アフリカまで1ヶ月で行きました。またその後、中南米、ヨーロッパ、アジアと、1ヶ月で駆け抜けるように世界一周もしました。世界中の国を回り、いろいろな人と触れ合って、その価値観を吸収できたことがとても面白かったです。

アフリカで世界中のバックパッカーと交流し
多様な価値観に触れた貴重な経験
海老名:ぜひ教えていただきたいのですが、世界一周で一番印象に残っている場所はどこでしたか?
松下:南アフリカ共和国の北西にある、ナミビアが一番素敵でしたね。ナミブ砂漠はオレンジ色がとても綺麗で、左には砂漠、右には海が広がる少し不思議な光景で、自然が本当に美しい場所です。
海老名:想像するだけでも素敵な場所ですね。出会った人とのエピソードはありますか?
松下:タンザニアからザンビアにかけて走る2泊3日の寝台列車、タンザン鉄道での体験が記憶に残っていますね。鉄道の中にある食堂には現地アフリカの方々だけでなく、世界中から来たバックパッカーも集まっていて、みんなでお酒を飲んだことが良い思い出です。貴重な経験になりました。
海老名:素敵な経験ですね。私も1,2ヶ月ヨーロッパを巡ったことがありますが、私たちの生活と比べるとやはり不便で、電車が1,2時間来ないことも普通ですよね。ただ、不便ではありつつも住んでいる方々は急いでないですし、話してみても今この瞬間をとても楽しんいでるのだろうなと感じました。その後にイギリスに行くと「暗!」と思ってしまったのですが……私たち日本人と似ていて、都市部で文明が発達し、電車も時刻通り来るけれど、なんだか面白みに欠ける気がして。生まれ変わったら日本のような都市とは全く違う場所で暮らしてみるのも面白いなと思いました。
松下:とてもよく分かります。いい意味で何も気にしていない良さがありますよね。世界に行って良かったことは、そういった多様な価値観に触れられたことが一番の財産だと思います。

人が好きだから、自利を追わず
目の前の人を幸せにするための提案を
海老名:バックパッカー時代のお話を伺っていると、松下さんはとてもコミュニケーション能力が高くて、現在の営業という職種にも生かされている気がしますね。
松下:ありがとうございます、そう言っていただけて嬉しいです。私自身、営業という職が好きで本当に楽しいです。
海老名:松下さんの営業としてのお仕事スタイルを教えていただけますか?
松下:お話する相手によっても変わりますが、感情やパッションを大切にしています。打ち解けた後は、論理立ててご説明し提案しています。
海老名:ご自身の営業スタイルはどうやって確立したのですか?
松下:実は前職では全然わからなくて。やっと最近、自分の得意なことに気づき確立しつつあるタイミングです。私はとにかく人が好きで、人と繋がることが好きです。だからこそ、この人に幸せになって欲しい、そのためにどうしたらいいか?ということを常に考えていて、必ずしも自社のプロダクトだけでなく他の有益な情報も提供します。このスタイルは他の人よりも得意なのかもと感じています。
海老名:その想いはどこから来るのでしょうか?少し意地悪な質問かもしれませんが、逆にそう思えない瞬間もあるのかなと気になりました。
松下:やはり一番は、今従事している教育事業に対しての共感が強いことだと思います。自分の目指したい世界と同じ方向だったことが大きいですね。また、自社のプロダクトが一番良いものであると自信を持って言えるので、パートナーさん(お客様)にとって本当の意味でお力になれると考えています。そこに対する想いがのっていることもあるかもしれません。
海老名:それが松下さんらしさであり、良さですよね。私も少し近くて、自分は人柄営業だと思っています。若いときに上司から「センスがある」と言われましたが、他の人と比べて突出してスキルが高いと思ったことはないです。愛や想いがお客様に届き、信頼していただき今に繋がっているのだと思います。

夢から逆算し、自分のキャリアの
マイルストーンを引く
松下:海老名さんは色々な会社を経験されていますが、思い出深い職場はありますか?
海老名:インテリジェンス(現:パーソルキャリア)は思い出深いですね。組織の新陳代謝が活発で、競争環境でもあったので3倍速で時間が流れていた気がします。今日より明日が良くなる、という感覚は特に若手にとって大事だと思いますが、会社がそれを見せてくれる環境だったので成長実感も強かったです。松下さんはどんな風にキャリアを選んできたのでしょうか?
松下:ずっと教育に興味がありましたが、自分が実現したいことへのマイルストーンをおいて考えてみると、まずは自分自身がビジネススキルを身につけることが必要だなと考えました。というのも、社会的意義のある事業だからこそ長くたくさんの方に貢献できるものでありたい、つまりスケーラビリティや持続性をもった事業を展開していきたいという想いがありました。そのためには視野を広く持ちながら、規模感のある事業の未来を考えられるビジネスマンになる必要があると考え、若手で一番チャレンジできるサイバーエージェントを選びました。その次は、教育IT業界で海外でも活躍できる人になりたいという目標を持ち、今のmanabieにたどり着きました。日本と国際社会のブリッジをしながら国内外の社会に貢献していきたいと考えています。
海老名:素晴らしいですね。そんな若い世代の方々がたくさん増えることを願っています。今の松下さんの夢は何でしょうか?
松下:「世界中をハッピーで溢れさせる」というビジョンがあります。それを達成するために自分がどんな状態になるべきかを逆算して考え、キャリアを設計していますね。
海老名:明確な目標に対して、環境も含めてきちんと考えてキャリアをデザインされているところがすごいなと思います。その姿や活力が周りの方にも影響すると思うので、素晴らしいことだなと感じました。私のビジョンは「周りにいる人たちを幸せにしたい」なので、比較的ローカルな夢かもしれません。私と関わる人に幸せになってほしいですね。

頑張った分だけ新しい仕事を任せてもらえる
規模が小さい会社ならではのやりがい
松下:海老名さんご自身のモチベーションに加え、組織のモチベートはどのように考えていらっしゃいますか?
海老名:小さい会社なので、細かいところまで気を遣うようにしています。仕事のことだけではなくて、家族の状況なども少し気に掛けていますね。比較的ウェットなやり方だと思います。
松下:お一人ひとりに合わせるスタイルなのですね。私の会社ではグローバルで200人、日本支社は20人の従業員がいますが、かなりインディペンデントで成果主義な文化なので新鮮で、とても素敵だと感じます。
海老名:私がそのスタイルになった大きな転換点は、昨年何人かの従業員が退職されたことでした。自分のビジョンを明確に伝えられず、意見や価値観のズレが生じてしまったことをとても反省しました。その経験を踏まえて、改めて私自信の価値観を発信し、近しい仲間を集めたいと考えています。仕事を楽しみたいと考えている人と、一緒に働きたいですね。
松下:率直な疑問なのですが、海老名さんはなぜそんなに仕事を楽しいと感じているのでしょうか?
海老名:勉強や筋トレと似ていて、頑張った分だけ成果で返ってくることが楽しいのだと思います。ベンチャーだからこそフィードバックが見えやすいと感じるのですが、松下さんはいかがですか?
松下:私も今の会社では頑張った分だけ次の機会をいただけて、新しい仕事を任せてもらえる点がとても嬉しいです。成果を出すほど評価や給与にも反映されるので、やりがいも感じています。年齢を重ねるとビシバシと指導される機会も減ると思うので、今は厳しい環境で頑張りたいです。
海老名:日辰広告には松下さんのような方と、もう少しゆっくりなペースで仕事をしたい方が居て、それぞれが気持ちよく働けるようにしつつ、頑張りたい人にはちゃんと機会を与えられる環境を意識しています。大手の広告代理店だと作業ごとに担当者がいるので、全体を通して見ることは難しいですが、弊社は真逆で、一人ですべてを見られる環境です。野心を持って自分でやってみたい!という方には、全部丸ごと経験できることが、ベンチャーならではの提供できる価値なのかなと思います。

営業と事業開発、領域を超えて
スキルの幅を広げていく
松下:30代を目前にライフプランやキャリアを考える人も多いと思うのですが、私たち世代へなにかアドバイスがあればぜひ教えていただきたいです。
海老名:テクニカルな部分はいつまでもアップデートしていくべきものだと思いますが、最終的にその人の資産として一生残るものは、性格や人格だと思います。松下さんの目の前の人に真っ直ぐに向き合うその姿勢は、この先もぜひ大切にしていただきたいです。松下さんの今後の展望はございますか?
松下:営業スキルは引き続き高めていきたいです。加えて、ビジネスディベロップメントという事業開発側の領域もできるようになりたいと考えています。マーケティングの側面はもちろん、PMやエンジニアなども巻き込んでプロダクトサイドの理解も深めていき、この行き来をすることで、できることの幅を広げていきたいです。
海老名:素敵なビジョンですね、応援しています!
松下:ありがとうございます。今日お話を伺い、日辰広告の唯一無二なところは、何と言っても海老名さんのお人柄だと感じました。従業員お一人おひとりに丁寧に向き合う姿がとても素敵ですよね。私も改めて自分の働き方を見直すきっかけになりました。
海老名:私自身もとても良い刺激になりました。本日はありがとうございました!
松下:ありがとうございました。

PROFILE

Private Limited.
Business Development Lead 松下 雛乃 氏
サイバーエージェントに新卒入社しAbemaTVの広告営業を経験。現在は、教育で世界中をハッピーにするというビジョンを実現するべくManabie Internationalにて国内外の教育機関のDX化事業に従事する。

代表取締役社長 海老名 康
メディア、人材、マーケティング業界を営業として経験した後、2013年に日辰広告を立ち上げ。デジタルマーケティング領域でのお客様のパートナーとなることをモットーに大小さまざまなプロジェクトに携わる。